第254話

8年後
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2026/08/10 09:00 更新
私と勝己は、お互いにそれぞれの仕事をしながら、毎日を過ごしていた。

高校を卒業してから、もう8年。

振り返ってみれば、本当にあっという間だった。

高校を卒業した私は、海上保安庁へ進み、長期の海外任務にも出た。

2年間、日本を離れていた時期もあった。

その間、勝己とは離れていたけれど、それでもお互いに自分の夢を諦めることはなかった。

そして日本へ帰ってきてからは、再び勝己と一緒に過ごすようになった。

最初は、離れていた時間を埋めるように、たくさん話をした。

くだらないことで笑ったり、
仕事の愚痴を言い合ったり、
休みの日には一緒に出掛けたり。

時には仕事で忙しく、何日もまともに顔を合わせられないこともあった。

それでも、帰る場所にはいつもお互いがいた。

勝己はヒーローとして、さらに多くの人を救うようになっていた。

そして数年前。

勝己はプロヒーローとしての経験を積み重ねた末、自ら独立した。

自分の信念を貫くために、自身のヒーロー事務所を立ち上げたのだ。
現場に出るだけではなく、事務所を背負う立場になったことで、勝己の仕事は以前よりずっと多くなった。

それでも、勝己は変わらなかった。




「俺がやると決めたんだ。最後までやる」






そう言って、どんな仕事にも真正面から向き合っていた。

一方、私も海上保安庁の隊員として経験を積み、様々な現場へ向かうようになった。
海難救助。

遭難者の捜索。

災害対応。

そして、時にはヴィラン絡みの事件。

そして今では、海上保安庁の一部隊を任される隊長になっていた。

自分一人で動けばよかった頃とは違う。

部隊の隊員たちの安全。

作戦の判断。

現場での指揮。

一つの判断が、隊員たちの命や救助される人たちの未来に関わる。

責任は、以前とは比べものにならないほど大きくなった。

それでも私は、この仕事を選んだことを後悔していない。

あの頃、海の上で誰かを助けるために必死だった自分が、今では後輩たちを守り、導く立場になっている。

……なんだか、不思議な気分だった。

今では、自分が誰かを守る側になっている。
私たちは、それぞれ違う場所で戦っている。

けれど、帰る場所は同じだった。

楽しいことばかりじゃなかった。

怖い思いをしたこともあったし、
帰ってきてから何も話したくない日だってあった。

そんな時、勝己は余計なことを聞かず、ただ隣にいてくれた。

逆に勝己が疲れ切って帰ってきた時は、私が何も言わずに隣に座った。

昔なら、もっと不器用だったと思う。

でも、長い時間を一緒に過ごすうちに、言葉にしなくても分かることが少しずつ増えていった。

高校時代。

あんなに遠く感じていた未来が、今では日常になっている。

雄英で出会った仲間たちとも、今でも時々集まる。

それぞれがヒーローとして活躍していたり、別の道へ進んでいたり。

昔と変わらない笑顔を見るたびに、あの頃のことを思い出す。

体育祭。

林間合宿。

文化祭。

訓練。

任務。

卒業。

そして、2年間の海外任務。

離れていた時間も。

再会した日のことも。

全部、昨日のことのように思い出せる。

……なのに。

気づけば、高校を卒業してから8年が経っていた。
 

そして――

私たちには、もう一つ叶えたい夢があった。

それは、緑谷くんのためにアーマーを完成させること。

あの日、オールマイトから聞いた僅かな可能性。

そこから私たちは、少しずつ動き始めた。

資金を集め、必要な技術を探し、何度も試行錯誤を重ねた。

勝己が独立してからも。

私が隊長として忙しくなってからも。

この計画だけは、決して諦めなかった。

そして――

ついに。

そのアーマーが完成した。
長い時間をかけて、私たちがずっと追い続けてきた夢が、ようやく形になった。

そして今日は。

オールマイトが、そのアーマーを緑谷くんへ渡す日。

朝。

私は海上保安庁の制服を身にまとい、鏡の前で身だしなみを整えた。

ふと隣を見ると、勝己もヒーロースーツへ着替え終わっていた。

昔とは違う。

お互いに、それぞれの場所で責任を背負う立場になった。

それでも、こうして並んでいると、雄英にいた頃と何も変わらない気がした。

勝己が玄関へ向かいながら、こちらを見る。
爆豪 勝己
行くぞあなた
夜凪 あなた
うんっ



私たちは並んで歩き出す。

向かう先は、約束の場所。

8年前に交わした約束を果たすために。



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