烏の鳴き声が私達を急かす。
早く帰れと。
早く進めと。
それでも笑って、沈みかけてる日を背景に。
それでも笑って、煩い烏の鳴き声を音楽に。
いつも適当に用意してるビニールシートに座って、ただ2人話している。
あんなに人見知り激しそうだった後輩も、もう慣れてる。
とは言え、あと数日でこの時間は終わる。
「連絡先は繋がってますからね」と笑う後輩はきっと、何も分かっていない。
沈黙が場を支配した。
周りが急かすぶん、私は絶対に急かさないと決めてる。
空中の埃を探していると、後輩の口からぽつりと言葉が溢れた。
…確かに微笑んだことすらないかも。
まあ、私はこの子のこと好きにはなれないから。
少なくとも、私がこの学校を卒業する、その日までは。
今日も、愚痴とも言えない後輩の心の内を聞き流す。
冷たいのかもしれないけど、結局は他人だから。
自分は自分、他人は他人。
私は誰かの深い所まで踏み込むつもりはない。
だって、それでその誰かを傷つけるかもしれない。
もしそれが良い結果だとしても…その誰かが、「自分の味方は貴方だけ」とか言い出したら?
そうなったとき、私は責任をとれる自信がない。
あ、いやラブじゃなくてライクだけどね。
私のことを好きになったとて、その誰かは後から苦しい思いをすることになる。
それは絶対、変わらない。
あ、今のは本当に笑った。
……いや失礼では…?
仮にも私、先輩なんだけど…












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。