第7話

5話
6
2025/03/04 15:00 更新

烏の鳴き声が私達を急かす。
早く帰れと。
早く進めと。
それでも笑って、沈みかけてる日を背景に。
それでも笑って、煩い烏の鳴き声を音楽BGMに。
いつも適当に用意してるビニールシートに座って、ただ2人話している。
貴方
…もうすぐ卒業ですね
だね
貴方
そろそろ教えてくださいよ、進路どうするんですか?
大学か就職か浪人かって話?
…どうだろうね
貴方
も〜……

あんなに人見知り激しそうだった後輩も、もう慣れてる。
とは言え、あと数日でこの時間は終わる。
「連絡先は繋がってますからね」と笑う後輩はきっと、何も分かっていない。
……で
貴方
また何かあったんだね
貴方
……分かります?
舐めないで貰って良い?
貴方
そうでした 笑

沈黙が場を支配した。
周りが急かすぶん、私は絶対に急かさないと決めてる。
空中の埃を探していると、後輩の口からぽつりと言葉が溢れた。
貴方
……もう辞めていいかな、って
生きるのが?
貴方
えっそんなストレートに聞きます?
私が気を遣うことが1回でもあったか思い出してよ
貴方
……先輩、にこりとしたことないですもんね

…確かに微笑んだことすらないかも。
まあ、私はこの子のこと好きにはなれないから。
少なくとも、私がこの学校を卒業する、その日までは。
貴方
だって…クラスは、まあ、もうすぐクラス替えなのであれですけど
貴方
親がどんどん酷くなってて…

今日も、愚痴とも言えない後輩の心の内を聞き流す。
冷たいのかもしれないけど、結局は他人だから。
自分は自分、他人は他人。
私は誰かの深い所まで踏み込むつもりはない。

だって、それでその誰かを傷つけるかもしれない。 
もしそれが良い結果だとしても…その誰かが、「自分の味方は貴方だけ」とか言い出したら?
そうなったとき、私は責任をとれる自信がない。

あ、いやラブじゃなくてライクだけどね。

私のことを好きになったとて、その誰かは後から苦しい思いをすることになる。
それは絶対、変わらない。
…そ
貴方
前から思ってたんですけど先輩冷たすぎません???
話聞いてはいるから良いでしょ
貴方
まあそうですけど…ふふ 笑

あ、今のは本当に笑った。
……いや失礼では…?
仮にも私、先輩なんだけど…

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