色々とやることを終えて時間はすっかり夜。
いいかげん我慢がならずアルのことを急かせば、そう言って服を捲った腕を差し出してくる。
彼の細い腕に牙を立て、突き刺し、傷口から流れる血を啜る。
口の中いっぱいに広がる鉄の味。
美味しい。確かに美味しい。
血の味に混じる少しの苦味。アルの味。ちゃんと舌が記憶した。
でも、なんだ、これ。
どこかで飲んだことがある。
ハスクの血と似てる。
ニフティの血と似てる。
エンジェルサンの血と似てる。
鉄の味に混じる、鉛のような味。
この3人の、共通点、は…………
どうして?どうして私は疑わなかった?
地獄に堕ちてから再開した彼が、当たり前のように魔術を使っていたことをどうして疑わなかった?
自分の頭の悪さに嫌気がさす。
血と魔術、魂。この3つは繋がりがある。
魔術に血を使うのも、魂を捧げるのも、よく言う話。
私は悪魔になってから、血の味が判別できた。
その血が誰のものなのか、微かな違いを知れた。
だからわかる。
魂を縛られている悪魔は、鉛の味がする。
生前でも一度だけ本気で怒ったことがある。
アルが大きな傷を負って帰ってきた日。
死にそうな出血量なのに、いつもの笑顔でヘラヘラと笑ってた。
怒った。本気で。その時言ったことを覚えてないぐらい怒った。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。