第7話

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2026/08/26 22:30 更新


(なまえ)
あなた
...本当に行くの?
ヨンジュン
ヨンジュン
行くよ

背後からヨンジュンの声が返ってくる。

振り返ると、五人がそれぞれ外へ出る準備をしていた。

昨日までゲーム画面の中にいたとは思えないほど、普通に靴を履いている。

ただし、普通ではないところが一つある。

全員、異様に目立つことだ。
(なまえ)
あなた
...そのまま外出るの?

あなたが五人を順番に見た。

ヨンジュンは黒いジャケットを羽織り、髪を軽く整えている。

スビンはシンプルな服装なのに、身長のせいでどう見てもモデルにしか見えない。

ボムギュはラフな服装で、鏡を見ながら前髪をいじっている。

テヒョンは服装まで無駄がなく、妙に落ち着いている。

そしてカイは、何も考えていないような顔でニコニコしていた。
(なまえ)
あなた
....目立つよ
ヨンジュン
ヨンジュン
そう?
ヨンジュン
ヨンジュン
普通だと思うけど
(なまえ)
あなた
普通じゃない
ヨンジュン
ヨンジュン
なんで?
(なまえ)
あなた
ヨンジュン
ヨンジュン
顔?
ヨンジュン
ヨンジュン
それ、俺の顔がかっこいいってことでいい?
(なまえ)
あなた
.....そんなこと言ってない
ヨンジュン
ヨンジュン
なに、なんか顔赤くない?ㅎ
ヨンジュン
ヨンジュン
照れた?ㅎ
(なまえ)
あなた
...照れてない
ヨンジュン
ヨンジュン
じゃあもっと見てよ
(なまえ)
あなた
見ない
ヨンジュン
ヨンジュン
なんでー
(なまえ)
あなた
うるさい!!
ボムギュ
ボムギュ
朝からいちゃついてくれるね~ㅋ
(なまえ)
あなた
イチャついてない!!
ボムギュ
ボムギュ
俺にはそう見えるけど?
(なまえ)
あなた
見間違い
ボムギュ
ボムギュ
ふーん

ボムギュはニヤニヤしながら靴紐を結んだ。
ボムギュ
ボムギュ
じゃあ俺もあなたの隣歩こーっと
(なまえ)
あなた
え、なんで急に
ボムギュ
ボムギュ
俺もあなたに見てほしいから
(なまえ)
あなた
……全員、今日どうしたの?
ボムギュ
ボムギュ
別に?
(なまえ)
あなた
絶対なんかある
ボムギュ
ボムギュ
ないって

そんなやり取りをしながら、あなたは玄関のドアを開けた。

外の空気が入ってくる。

その瞬間、あなたは妙な感覚に襲われた。

昨日までなら、この扉の向こうにはいつもの日常があった。

学校へ行って、バイトへ行って、帰ってきて、ゲームを開く。

それだけだった。

なのに今は、その日常の中に五人が混ざっている。
(なまえ)
あなた
……みんな、絶対私から離れないでよ
スビン
スビン
どうして?
(なまえ)
あなた
だって何かあったら困るし
スビン
スビン
大丈夫だよ
(なまえ)
あなた
何が大丈夫なの
スビン
スビン
ちゃんとあなたについていくから
(なまえ)
あなた
ほんとかなぁ...
スビン
スビン
じゃあ、今日は僕たちが迷子にならないようにお願いね
(なまえ)
あなた
保護者じゃん私
スビン
スビン
そうなるかも
(なまえ)
あなた
普通逆じゃない?
スビン
スビン
確かにㅎㅎ

スビンが笑う。

その柔らかな笑顔を見て、あなたも少しだけ笑った。

しかし玄関を出てから三分。

早くも問題が起きた。
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
....あれ?

ヒュニンカイが立ち止まった。
(なまえ)
あなた
どうしたの?
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
これ何?

ヒュニンカイが指差した先には、自動販売機があった。
(なまえ)
あなた
自動販売機だけど?
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
どうやって使うの
(なまえ)
あなた
え?
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
飲み物飲みたい
(なまえ)
あなた
あー...

あなたは財布から小銭を取り出して見せる。
(なまえ)
あなた
ここにお金入れて、好きなやつ押すの
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
へぇ

ヒュニンカイは興味津々で自動販売機を眺めた。
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
これ全部飲み物?
(なまえ)
あなた
そうだよ
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
すごい!!
(なまえ)
あなた
え、そんなに?
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
だってボタン押したら出てくるんでしょ?
(なまえ)
あなた
うん
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
便利だね
(なまえ)
あなた
ゲームにも自動販売機あったじゃん
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
僕たちが使う場面なかったから
(なまえ)
あなた
...そっか

なんとなく、その言葉が胸に引っかかった。

彼らの世界には、自分たちが当たり前だと思っているものがたくさん存在していた。

でも、それを実際に使うことはなかった。

画面の中にあるだけ。

その事実を思うと、少し不思議な気持ちになる。
(なまえ)
あなた
じゃあ、どれ飲む?
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
これ!
(なまえ)
あなた
それ、炭酸だけど大丈夫?
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
大丈夫!
(なまえ)
あなた
おっけー

そのときヨンジュンが突然、あなたの手から財布を取った。
ヨンジュン
ヨンジュン
俺が払う
(なまえ)
あなた
え?
ヨンジュン
ヨンジュン
昨日からあなたに頼りっぱなしなの、ちょっと嫌なんだよね
ヨンジュン
ヨンジュン
俺たち、ここで生きるんでしょ?

ヨンジュンが財布を持ったまま、少しだけ笑う。
ヨンジュン
ヨンジュン
だったら、何でもあなたにやってもらうのは違うじゃん

その言葉は、思ったより真っ直ぐだった。

ゲームの中なら、こういうときは決まった甘い台詞が出てきたかもしれない。

でも今のヨンジュンは、何も決められていない。

自分で考えて、そう言っている。
(なまえ)
あなた
じゃあ、今日は私が教えるね

あなたが財布を受け取りながら言う。
(なまえ)
あなた
まず仕事に行って、お金を稼ぐ
ヨンジュン
ヨンジュン
うん
(なまえ)
あなた
それから、ちゃんと生活できるようにする
ヨンジュン
ヨンジュン
分かった
(なまえ)
あなた
勝手にいなくならない
ヨンジュン
ヨンジュン
それは約束する
(なまえ)
あなた
あと、知らない人についていかない
ヨンジュン
ヨンジュン
俺たち子供じゃないよ?
(なまえ)
あなた
この世界のこと何も知らないでしょ
ヨンジュン
ヨンジュン
...まぁ、それはそうㅎ

ヨンジュンが笑った。

その横でボムギュが突然、あなたの肩に腕を乗せる。
ボムギュ
ボムギュ
じゃあ俺はー?
(なまえ)
あなた
なにが
ボムギュ
ボムギュ
俺にも注意してよ
(なまえ)
あなた
.....
(なまえ)
あなた
じゃあ、ボムギュは余計なことしない
ボムギュ
ボムギュ
それだけ?
(なまえ)
あなた
それだけ
ボムギュ
ボムギュ
俺への信頼、低くない?
(なまえ)
あなた
自覚あるでしょ
ボムギュ
ボムギュ
ない
(なまえ)
あなた
嘘つけ

二人で笑っていると、ヨンジュンがじっとボムギュを見る。
ヨンジュン
ヨンジュン
....腕
ボムギュ
ボムギュ
なに?
ヨンジュン
ヨンジュン
あなたから離して
ボムギュ
ボムギュ
なんで?
ヨンジュン
ヨンジュン
歩きにくそう
ボムギュ
ボムギュ
そんなことないと思うなー
ヨンジュン
ヨンジュン
俺にはそう見える
ボムギュ
ボムギュ
じゃあヒョンも離れれば?
ヨンジュン
ヨンジュン
俺はまだ触ってない
ボムギュ
ボムギュ
じゃあ俺もいいじゃん
ヨンジュン
ヨンジュン
よくない
ボムギュ
ボムギュ
なんで?
ヨンジュン
ヨンジュン
....なんとなく
ボムギュ
ボムギュ
それ嫉妬じゃん
ヨンジュン
ヨンジュン
違う
ボムギュ
ボムギュ
そうだって

あなたは二人を見て、ため息をついた。
(なまえ)
あなた
朝からなにやってんの

その瞬間。

また、視界の端にウィンドウが浮かんだ。

《BEOMGYU 好感度:76》

《YEONJUN 好感度:74》

一瞬だけ数字が変わっている。
(なまえ)
あなた
...え?

あなたが目を瞬く。

すると、今度は別の文字が表示された。

《好感度変動を確認》

《感情データに異常値を検出》

《――注意》

表示は、そこで消えた。
(なまえ)
あなた
...なんだったんだろ
ヨンジュン
ヨンジュン
どうした?

ヨンジュンが顔を覗き込む。
(なまえ)
あなた
ううん、なんでもない

あなたはスマホを握りしめた。

まだ、この世界で何が起きているのか分からない。

ただ一つ分かるのは

五人の好感度は、ゲームの中にあった数字とは違う速度で動き始めているということ。

そして、その数字が動くたびに五人の態度も、ほんの少しずつ変わっている気がした。
(なまえ)
あなた
ほら、行くよ!

あなたが歩き出す。
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
あっ、待ってよ、あなた!

ヒュニンカイが駆けてくる。
(なまえ)
あなた
ちゃんと着いてきてよ?
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
うん!

その後ろからスビンが笑いながらついてくる。
スビン
スビン
カイ、走ると危ないよㅎ
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
大丈夫!
スビン
スビン
転ぶよ?
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
転ばないって!
テヒョン
テヒョン
そう言って転ぶ人、いっぱい見てきたけどな
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
じゃあ僕は転ばない
テヒョン
テヒョン
どういう原理?
ヒュニンカイ
ヒュニンカイ
わからない!
テヒョン
テヒョン
ㅎㅎ

さらにその後ろでは、ヨンジュンとボムギュが何か言い合っている。

六人の声が朝の街に混ざっていく。

そして、あなたはまだ知らない。

この日の初出勤が。

五人の現実適応能力を測るどころか彼らの顔面によって、街中をちょっとした騒ぎに変えてしまうことを。


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