〈サムライ翔目線〉
わかってる。
そんなこと、
わかってる。
俺がかいくんを殺したようなもんや。
俺はかいくんを守れなかった。
あの日、かいくんは事故に遭った。
小さな子どもを助けようとして、身代わりに。
全部、全部俺のせいなんや。
俺がかいくんを守れば、俺が身代わりになっておけば。
ここが夢であることもわかってる。
かいくんは優しいから俺にそんなこと言わない。
そう、聞こえた気がした。
いや、実際に言ったのかもしれない。
でも俺には、「お前が死ね」と言われてるような気がした。
やっぱり夢。
もっと、もっと俺を罵倒してくれ。
夢でいいから。
罵倒して、「サムライのせい」って言われたほうが気が楽なんや。
なあ、一回でいいから。
現実世界で俺を罵倒してくれ。
そうしてくれたら、
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!