雑談をしながら訓練場までの道のりを歩く。
高めの声と明るい声で、笑いながら話す少女達。
時折、何の前ぶりもなく振られる質問に
文脈から丁寧に言葉を選ぶ。
あぁ、すごく、
でも、仕方ない。
ダルヴァは強い。
翠はライナに好かれている。
仲良くしておいて損はないからと、
ついていくのを決めたのは自分だ。
人と馴れ合うのは好きじゃないが
交流も仕事だと思えば、何ともない。
ニコニコと笑いながら二人の後を歩く。
自分が話を振らなくても
情報が落ちてくる点では便利だ。
美味しいカフェの話だとか
可愛い猫の話だとか
そんなくだらない情報から一変
少し興味深い話も聞こえてくる。
寡黙で高圧的で孤高な人。
アハトそっくりなボスを思い浮かべて
シリスは勝手に納得する。
あまり興味はなかったが
いつか、雑談の一環として
聞いてみようと思っていたことがあったんだった。
それを思い出して、シルスはダルヴァ達に聞く。
なんだ、残念。
心の中で落胆のため息をつくシルス。
ふと、歩みを止めて
自分の目をジッと見つめる少女に
シルスはつられて足を止める。
へらり。
笑顔を顔に貼っつけて、ダルヴァに返事をする。
なかなかに勘のいい子だ。
まぁいいか。どうせ大して興味もなかったし。
目的は情報じゃなくて、戦闘訓練。
ロボットでは賄いきれない、
人間臭さ対策に来てるんだから
あの小娘の母親情報なんてどうでもいいか。
そう考えたら、少し惜しい気がしてきた。
…ま、ボスと対立する日なんて来ない(予定だ)し
やっぱりいらない情報か。
シルスは頭の中で結論を出し
後は黙ってダルヴァと翠についていった。
心の声多めですね。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。