今日の仕事は掃除。
あなたの御陰様様の部屋はあまり汚れていない。
煤が出ていないのか、掃除好きなのかはわからないが。
『…どうかしましたか?』
「なんでもないわ。…ただ…」
『ただ?』
「私の顔はやっぱり綺麗って思ったの」
『…そうですか』
あなたの御陰様様はいつもこうして“僕”の顔を褒める。
少し、というかすごく気恥ずかしい。
窓を拭きながら自分の顔を見つめる。
『(あなたの御陰様様の顔としては美しい自信はある。ただ僕として動く時、その時の僕はひどく醜い)』
硝子についた煤を擦る。
なかなか落ちない煤がある。
『(…これ、外の煤か?)』
窓を開けて腕を伸ばす。
身長は高い方だから、汚れには簡単に届いた。
「こんにちは!」
『…?』
「こんにちは!あなたも窓の外の煤を拭いているんですか?」
『あぁ、そうだけど…』
「私、初めは中の汚れだと思っていたんです!でも、ケイト様が外じゃない?って教えてくれたんです!」
『そう、よかったね。落ちないように気をつけて』
「はい!ありがとうございます!!」
窓を閉める。長い金髪の幼なげな少女だった。
「どうかしたの?」
『いえ、隣の生き人形が…』
「へぇ〜どんな子?」
『長い金髪の少女です』
「名前は?」
『すみません、それは…。ただ…ケイト様と』
「ケイト…同期だったら友達になれるといいわね」
『はい』
僕はまた硝子に雑巾を伸ばした。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。