第90話

恋をする
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2023/11/30 09:33
僕らの視線の先にはライナとルイ。

しかし声をかけようと踏み出した途端、
ナナのスマホに電話がかかってきた。
ナナ
?えっと…どちら様……カルノに?
…………ちょっと待ってください
そう答えた後、ナナは僕にスマホを渡してきた。
ナナ
カルノに変われって
カルノ
え?誰?
スマホを耳にあてる。

すると僅かに息を呑む音の後に、あの声が聞こえた。
ツィンテル
…………明日の午後5時にハチ公前で待っていてくれ。
そこからまた移動するがその時に伝える。
…………………大事な話じゃ
カルノ
っ……………!…………わかった
すぐさま通話を切り、僕はナナにそれを返す。
ナナ
…………始祖?
カルノ
し、しそ?何、大葉?
ナナ
いや、本家。どう?当たってる?
唐突にそう問われ、僕は一瞬固まった。

無駄に察しがいいナナにはもうバレているのかもしれない。

…………ていうかバレてんなこれ。
カルノ
…………何で
ナナ
………数日前、お父さんが焦ってたんだよね
ナナ
目上の人に合ってくるみたいだった。
革命長より偉い人なんていないし、人間相手に
武器は持っていかないし
ナナ
………それに不思議だった。誕生日に
カルノがいなくなってたのも、守護獣について
知ってたのも。だから、もう消えているはずの
封印の血筋、本家が関わってんのかなーって
カルノ
…………あぁ、僕が難しい対応任せちゃったから…
ルスヴン家の後始末の中には僕一人では解決できないものもあった。
そのためそこは革命長にお願いしたのだが、

ナナにもバレるとは………
ナナ
…………誰にも言わないよ
カルノ
そうじゃなきゃ困る
僕は一つ大きなため息をついた。

いつの間にかルイ達もいなくなっている。

まぁナナについてはわかってよかったし、
味方が増えた、と言っても良いだろう。
カルノ
………ま、いいや。
ナナ、これからどこ行く?
ナナ
じゃあカラオケ
カルノ
よっしゃ任せろ
ライナ
今日は何で俺を誘ってくれたの?
ルイ
え?あぁ…暇かなって
ライナ
俺これでも、睡眠で忙しいんだぜ
ルイ
それは暇
違う。

僕が君を誘ったのは、

醜いこの僕のため。






夏休み、8月28日。

僕は教室で先生と向かい合っていた。

というのも、僕が無理を言って先生に会いにきたからだ。

茜色の陽射しの中、僕は先生に言った。
ルイ
…………先生に、聞いてほしい事があるんです
ルイ
…………先生は………ゲイですよね
先生
そうですね。最近同棲始めました
先生は柔らかい笑顔で僕が言い出すのを待っている。

…………ずっと秘めてきた思いを。
ルイ
…………僕は、




ルイ
…………………今、男に恋をしています
躊躇いつつ進む。

大丈夫。怖くない。
先生
なるほど
ルイ
それで…その………
ルイ
先生はどうやって告白したんですか?
僕がそういうと、先生は唸った。

しかしすぐにこちらを向き直し、口を開く。
先生
………アプリですね。何度か合ってそのまま…というか
ルイ
………………そうですか……
結局あまり参考にはならなかったけれど。

先生は言った。
先生
男だから女だからって、関係ないですよ。
好意は嬉しい、嘘はつけない
先生
だからただありのままをぶつければいいと思いますよ。
………君達はまだ若いんだから、当たって砕けろです
ルイ
…………当たって砕けろ……
全力で。

ただ僕の思うように。







_______俺がいるから、いいでしょ?





ルイ
(……ずっとそうだったね)
ルイ
(ライナは)

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