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第1話

ギンセカイ
138
2023/12/14 10:04
その日だって、本当になにも変わらなかった。
ただ、いつもと同じように、太陽が登る。
…でも、本当に、ほんの少しだけど。
寒かった…そんな気もした。
くまめいぷる
あー、また負けたよチクショウ
PVP終わりのとある夕方で、もう日が少しずつ落ちていって、辺りをオレンジに染めていた。
ばむと
大体強すぎるんですって…頭の回転も早いですし…
めためる
俺にはついていけない世界の話だ…oh…
すと
めたは経験不足。ばむとは立ち回り。くまは…諦めろ。
くまめいぷる
ちょっと待ってさりげなく見捨てないで!?
すと
いや…もうアレはどうしようもない…
ばむと
上に同じく
めためる
上に同じく
くまめいぷる
えぇ…まぁたしかに最後のはひどいとは俺も思ったけど…
すと
なんであそこで落ちていくのか理解できない。
すとさんをあと一回つつけば落とせるというところで落下したくまさんは、もう救いようがないようだ。
ばむと
で、夜ご飯どうします?
くまめいぷる
ん〜
くまめいぷる
知らね
すと
まぁそういうところもあるんだろうな…
くまめいぷる
まぁまぁまぁまぁ
めためる
よし!俺の山頂の家で食おう!
すと
ありがたい
ばむと
おー、ちょっと久々かもですね
くまめいぷる
最近は風車で食べることが多いからな〜
わいわいと話しながら山頂へと向かう。
くまめいぷる
…?
冷たい風が、少しだけ吹いた…そんな、気がする。
それでも気の所為だと頭を振って忘れて、三人の後をついていった。
ご飯を食べ、お風呂に入り、全て済ませて布団に入る。
直前まで枕投げをしていたばむととめためるは、PVPの疲れも相まってすぐに寝てしまったようだ。
すとも午前中の畑仕事で疲れがたまり、ばむめたのすぐ後に夢の中へ入っていた。
しかしくまめいぷるは、今日の風のことをを未だに考えていた。
そのせいで時々神妙な顔になり、三人から「らしくない」と言われる始末。
確かにかなり黙りこくっていたので、まぁ彼を知っている人なら誰でもおかしいと思うだろう。
考え事をしているせいか、もう寝ようと思っても目が冴えてしまう。
結局、日を跨ぐことになりそうだ。
かちり…かちり…時計の音が、嫌に響いて彼を焦らせる。
かちっ…0時になった瞬間だった。
冷たい風が思い切り吹いてきた上、ものすごい寒気が入ってくる。
くまめいぷる
っ…!?
大急ぎで窓に駆け寄ってばたんと閉める。
…全員あの強風で起きたようで、目を擦っている。
ばむと
今何時なんですかぁ…?
すと
まだ眠い
めためる
あああぁぁぁ…ねっむ…
くまめいぷる
おう、おはよう
めためる
いやおはようじゃない…って…?
突然怯えたような表情になる。
くまめいぷる
…何…?
もう聞くのが怖い。でも聞かなければならないと、恐る恐る言う。
ばむと
…窓の外を…見てください。
怯えながら、勇気を振り絞って振り返る。
そこは、一面のギンセカイだった。

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