第2話

ヒトカケラ
96
2023/12/18 10:00
あたり一面白。白。白の世界。
ただ白色の雪だけが支配する世界。
ただ、もう一つの、他のメンバーには見えない事実が、彼を更に怯えさせる。
…凍りついたモンスター。
多分、夜の間に湧いたのだろう。
それが、氷像となり、ヒトカケラの雪と共に崩れていく。
外に出た瞬間、自分たちもこうなるんじゃないのか。そんな気持ちがよぎる。
ただ、今は頭から振り払って、くるり、と振り返る。
崩れ落ちた氷像を、見なかった演技フリをして。
くまめいぷる
真っ白…だな
くまめいぷる
凍えてきたし、こたつでも出すか
ばむと
そう…ですね
すと
…分かった
めためる
めたが目を見開いたまま静止している。
多分…あまりにいきなりのことで怖いのだろう。
くまめいぷる
…めた、大丈夫だからな
なんと言っていいのかわからない。だから、少しくらい安心できるようにと、柔らかい声で言う。
めためる
あ、わ、分かった…あ、こたつ出すの手伝ってくるよ
そう言って、先に行った二人の後を追っていく。
それを見届けて、くるり、と振り返る。
雪がチラチラと踊るように舞っている。多分、外は絶対零度なんてレベルの話ではないんだろう。
もしもこれが終わらなかったら…なんて悲観的考えを振り払って、こたつを出すのを手伝いに行った。
くまめいぷる
こんなもんだろ
ばむと
ですね~
こたつを出し終わって、全員で入る。
電気はさっき繋げた。こういうとき、ほんとにクラフトが役に立つ…。
専門知識なんてもんが一切無くてもここまで電気を持ってこれるんだから、ほんとマイクラ世界はおかしい。
すと
…ちゃんと作動してる
くまめいぷる
よし入るぞ〜!
被せ気味に言って少し大きめのこたつに飛び込む。
くまめいぷる
あったけー…
めためる
ここで寝れる…
すと
寝るのは良くない
すと
布団行け
めためる
ええ〜…こっちのほうが絶対いいのに…
ばむと
まぁまぁ、別にあったかいからいいじゃないですか
くまめいぷる
そうだぞすとさんよ。こたつ睡眠はクラフターの基本だ!
すと
聞いたことない…
ありもしない基本を言ってまた笑う。
これからどうしようかな。なんて。
…まるで現状をゲームみたいに考えていた自分に気づくと、すぐに頭を振って‘それ’を追い出した。

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