あたり一面白。白。白の世界。
ただ白色の雪だけが支配する世界。
ただ、もう一つの、他のメンバーには見えない事実が、彼を更に怯えさせる。
…凍りついたモンスター。
多分、夜の間に湧いたのだろう。
それが、氷像となり、ヒトカケラの雪と共に崩れていく。
外に出た瞬間、自分たちもこうなるんじゃないのか。そんな気持ちがよぎる。
ただ、今は頭から振り払って、くるり、と振り返る。
崩れ落ちた氷像を、見なかった演技をして。
めたが目を見開いたまま静止している。
多分…あまりにいきなりのことで怖いのだろう。
なんと言っていいのかわからない。だから、少しくらい安心できるようにと、柔らかい声で言う。
そう言って、先に行った二人の後を追っていく。
それを見届けて、くるり、と振り返る。
雪がチラチラと踊るように舞っている。多分、外は絶対零度なんてレベルの話ではないんだろう。
もしもこれが終わらなかったら…なんて悲観的考えを振り払って、こたつを出すのを手伝いに行った。
こたつを出し終わって、全員で入る。
電気はさっき繋げた。こういうとき、ほんとにクラフトが役に立つ…。
専門知識なんてもんが一切無くてもここまで電気を持ってこれるんだから、ほんとマイクラはおかしい。
被せ気味に言って少し大きめのこたつに飛び込む。
ありもしない基本を言ってまた笑う。
これからどうしようかな。なんて。
…まるで現状をゲームみたいに考えていた自分に気づくと、すぐに頭を振って‘それ’を追い出した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。