目を覚ますと、其処はベッドの上だった_____
部屋を見回すと、
ベッドの横には紬が椅子に座っていた
私は掛けた覚えの無い毛布を捲った
恐らく、紬が掛けてくれたのだろう
紬は本を読んでいたらしく、
先程迄は私が起きている事には気付いていなかった
本をパタンと閉じてそう言った
眠そうに欠伸をしながらそう聞くと、
その瞬間、一気に眠気が吹き飛んだ
紬の言葉が頭の中で何回もリピートされる
驚きのあまり、私は一瞬フリーズした
聞き返すも、紬には即答されてしまう
まさかそんなに寝ていたなんて…
疲れも特に溜まってない筈なのだけど
紬を見ると、何やら心配そうな顔をしていた
思わずそう聞くと、紬は顔を顰めた
私はピクリと眉が動いた
一瞬、私の目からはハイライトが消えただろう
だが、私の様子は直ぐに戻った…筈。
明るく笑ってそう言った
大丈夫、きっと出来てる、上手く笑えてる。
そう付け足して笑い掛ける
だが、紬の表情は変わらなかった
私の思い浮かべていた微笑みは無く、
只々顔を顰めているだけだった
意外とあっさりそう言った
疑いの目は変わらなかったが、
問い詰めが無く、
心の中で何処か安堵する自分が居た
然し、安堵する理由は自分でも分からなかった
ベッドからゆっくり起き上がり、私は聞いた
子供らしい単純な質問だった
けれど私は、その答えが知りたくて堪らなかった
何故その応えを求めるのかは分からない儘…
一呼吸置いて、紬は言葉を繋いだ
重く強い口調で紬は言った
毎回思う
紬の一つ一つの言葉には説得力があり、
思わず頷き納得してしまう
紬は私に
本の読み聞かせをするように、
言い聞かせてくれた
平然と言葉を紡ぐ紬に、私は呆気にとられた
数秒の沈黙が流れると、
紬はそそくさと私の部屋を出ていってしまった
…相変わらず、不器用だねぇ(笑
誰も居ない部屋…。
数秒経ってから、
私は遅れてゆっくり頷いて返事をした
私は無言で静かに準備を始めた
身支度が終わり、私はゆっくりと部屋を出た
リビングへ直行すると、紬はもう居なかった
恐らく任務へ駆り出されたのだろう
そう言って、いつもの肩掛け鞄を手に取り、
それからゆっくり家を出た
私はポケットからロケットペンダントを取り出した
そして中をあけると、
夕焼けをバックにした観覧車に乗る二人の少女の姿が映っていた
私はそのロケットペンダントを
ギュッと強く握り締めた
そしてそれから、一言、言葉を紡いだ
そう言って、私は家を出た
虹音、私は明るく振る舞えてる?
上手く笑えてる?
私もいつか、君の居る場所へ行くよ。
心の中で、私は虹音に問い掛けた
私は鞄から小さな手鏡を取り出し、
笑顔の練習をした
虹音はいつもニコニコしてた
明るくて、ポジティブで、面白くて、
私は虹音を忘れない為に虹音を真似る
そうやって生きてきた
だから今日も私は真似る_____
私は哀しみを含みながら小さく笑い、呟いた
だがその呟きは、
大きな大きな青空に呑み込まれていった_____
第一シーズン「別れと出会い」完結___
第二シーズン「最悪な再会」始動___
アンケート
どーする?
不定期でも投稿続けてほしい…!
74%
ストック溜まってから一気に投稿してほしい!
26%
投票数: 297票













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!