青年は少女に向かって、ストレートにそう聞いた
少女は俯き気味にこう言った
ドス黒い光が差さない狂気の色をした瞳で、少女は声色を変えずに淡々と平然としてそう言った
青年は黙った
けれど表情は特に変わらなかった
それから数秒の沈黙が流れると
青年は独り言のように呟いた
声色を変えずに平然と青年はそう言った
少女は目を見開いて酷く吃驚した
思わず拍子抜けして言葉が漏れた
今までは情けや哀れみだったのに、
この青年は同情すらも掛けてくれない
怒りや哀しみは無かった
否、反対に、
否定も肯定もしない
青年の言葉が心地良かったのかもしれない____
恐らく一生其の言葉は少女にとって忘れないだろう
人生にとって、初めてだった
こんなに何も聞いてこない人は
少女は衝撃的だった
全身が雷に打たれたような感覚だ
只々、其の言葉が嬉しかった
青年は少し屈んで、
小さい少女と視線を合わせながらそう言った
少女の瞳からはやっと光が射し込んだ____
そう言って少女は青年に向かって跪いた
青年はギョッとして目を見開いたが、
その後すぐに、笑顔に変わった
初めてみた青年の笑顔
ニカッと太陽のように笑って明るくそう言った
青年は少女の頭にポンと優しく手を置いた
暖かくてその温もりに目頭が熱くなった
青年の様子に、少女も釣られて微笑んだ
疑問形で少女は返事をした
少女は言葉の意味がよく分からなかったが、
青年と居ると、笑顔になれる気がした
この人に着いて行こうと、少女は強く決意した
青年は喋りながらゆっくり歩き出した
その後ろを
少女は元気よく返事をして早歩きで追った
これが、最強術師と少女の出会いだ。
そして、少女の終わりであり始まりだ______












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。