血と、斬撃と、轟音。
2人が見据えるは___前世からの、仇。
鬼舞辻、無惨。
もう、恐れはなかった。
そんなものは、とうに消え去った。
愛する人間が横にいる。隣にいる。
___今、ここに、生きている。
それだけで、
刀を構える。
もう、この一太刀で___終わらせる。
一呼吸。
……一拍置いた後に、ヤツは___
___跡形もなく消え失せた。
同時に、無限城は光に包まれ、そして、
そして。
気が付けば、現実の世界にいた。
隣にはいつもと変わらない実弥がいて。
周りには、誰一人欠けずに、みんなが、いた。
生きている。私達、生きてるんだ。
生きて、いいんだ。
少し小馬鹿にするように言われる。
やめろ。笑うな。泣いてる私がアホみたいだろ。
普段通りの会話だ。
日常に戻ったんだ、と、安心していると、
急に実弥が顔色を変えた。
前世のこと、伝えるべきかどうか。
そう迷っているうちに、なんかよく分からなくなってきて、前世の、片思いだった感情が蘇ってきて、ポロポロと溢れる涙を抑えきれなくなってしまって。
固まる実弥。
口元を手で覆った数秒後、言葉の意味を理解したのか、耳が赤くなるのが見えた。
しゃがみこんだ。
聞こえないように言ったつもりなのだろうが
丸聞こえである。
こっちまで恥ずかしくなるだろふざけるなお萩の分際で。
などと心の中で文句を垂れていると、次の瞬間、
なにか包み込まれるような感覚があった。
"___絶対、幸せにしてやる。"
平穏な日常が戻ってきた。
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!