第8話

経験
23
2023/04/26 21:07 更新
ミナト
弾が通らないってなると肝になるのは俺の太刀か!
アル
まだ断定はできない
アル
あくまで通じないのは体などの鱗の部分
アル
しかも今私が使ったのは通常弾ってやつ
アル
鱗とかちょっと硬すぎなやつには弾かれちゃうのよ
ミナト
他に何かあるか?
アル
私が使うものだと貫通弾も使える
アル
なんなら貫通弾を主体に戦うタイプのボウガンよ
ミナト
なんで通常弾でケチケチしてんだよ!?
アル
資金がないからに決まってるでしょ!
アル
採取に行っても数は限られてる
アル
そのくせして襲われたら弾を消費するから効率悪いのよ
アル
けど、こいつをやるには貫通弾はあると楽かもね
ミナト
なら、使えよ?
アル
私の中の仮説を消化してからね
アル
その間あなたは何とかしてアイツにダメージ与えといてくれると助かる
ミナト
無茶言いやがって…
 そう言いつつも太刀を抜きイャンクックと対面する。先程のタックル後でも、平気な顔をして立っていることからやはり体は丈夫なようだ。残る可能性としては、『頭』『足』『翼』『腹部』の4つとなる。
 頭は硬いかどうかは分からないにしろ、ダメージを与えるには少し位置が高い。また、足は簡単に攻撃できる分爪での攻撃のリスクが高く、太刀のリーチを持ってしても警戒するに越したことはない。
 また、翼も頭と同じ理由で少し位置が高いが可能性がない訳では無い。というのもパッと見たところ風を受ける部分はほかの薄桃色の鱗とは違い青みがかった皮膚(?)のようになっている。この部分なら大きなダメージを与えることができるだろう。
 最後に腹部だが、体と腹部に分けたのにはワケがある。これも翼と似た理由で鱗があるとはいえ薄桃色の鱗とは違う。つまり、さほど硬くない可能性が存在するということ。それに加えて、腹部なら太刀でも攻撃可能範囲となっている。
 ざっと出したこの4点からどれを攻撃するかは、ミナト自身が決める。
ミナト
足さえイカれちまえば激しくは動けないはず
ミナト
なら、まずはその足に一撃入れる!
 抜いた太刀を構えまず一撃足に入れる。が、やはり傷は浅く鱗によってしっかり守られている。
ミナト
くっ!
ミナト
やっぱり硬いよな!
 近くによってきたミナトに対してリーチは短いがその尻尾を使いミナトを薙ぎ払う。
 予備動作を察知し瞬時に太刀で尻尾による攻撃を受け流すが、質量の違いにより後ろに吹き飛ばされる。
ミナト
くっ!?
ミナト
大してでかくないくせに!
アル
ちょうどいいわ!
アル
そのまま寝っ転がってて!
 ミナトの後方から再度弾をぶち込む。狙う箇所は頭部、使う弾を通常弾から徹甲榴弾に変えて顔にくっ付ける。
ミナト
徹甲榴弾か!
アル
爆発に時間かかるからまた距離とって!
ミナト
了解
 一度太刀を納刀し少し距離をとる。ミナトがイャンクックから離れた直後、顔に付着していた徹甲榴弾が炸裂し、イャンクックに多大なるダメージを負わせることに成功した。その証拠としてあの大きな耳は壊れ、強い衝撃を頭部に与えたからかその場に倒れ込みじたばたしている。
アル
ピヨったみたいね!
ミナト
なら僕は翼を重点的に斬る!
ミナト
アルは正面から貫通弾で!
アル
言われなくてもやるわよそんなの!
 再び距離を詰めてミナトは気刃斬りを翼を中心に与え続け、アルは正面から適正距離を保ちながら貫通弾を頭部に何度も打ち込んでいく。ドスランポスであればこの時点でもう討伐は完了していてもおかしくはないが、やはり相手はくさっても飛竜種…。これだけ弾を撃ち込み、翼を何度痛めつけられようと自身が弱っているという素振りを見せることはない。
アル
結構タフな奴ね!
ミナト
くそっ!
ミナト
もう僕の腕も限界だぞ!
アル
なら一度下がって休んでなさい
アル
その間砥石でもして切れ味を戻しておくようにね
ミナト
アルだけでここを抑えるのか!?
アル
見たところコイツは斬撃に弱い
アル
なら、斬撃武器のアンタを生かす方が先決だからね!
ミナト
砥石をしたら直ぐに戻る!
アル
当たり前よそんなこと!
 一度ミナトはその場を大きく離れ、物陰に隠れながら武器を研ぐ。その間、アル一人がイャンクックの相手をすることとなる。
 徹甲榴弾によるダウンが終わりボロボロになりながらも立ち上がり大きな咆哮をあげるイャンクック。彼の瞳に映るのは一人の女ハンター。その瞳は怒りに燃えている様にも見えたが、もうひとつの可能性として彼自身のプライドのため、アルが自身を脅かす存在として認められたからこそ、そのクリっとした瞳が鋭くなったともとれる。
アル
おはようイャンクック?
アル
第二ラウンド…始める?
 その問いかけに答えるように口から火球を吐き出し先制攻撃を仕掛ける。
アル
そんな火球くらい!
 放物線を描きながら飛んでくる火球を左に避けて回避したその体勢からまた一撃イャンクックに撃ち込む。しかし、貫通弾と言えどランクの低い弾ではイャンクックの鱗を貫くことは難しく数発に一二回は弾かれてしまう。
アル
やっぱ思いのほか硬い鱗みたいね
 火球を避けられたイャンクックは再度火球をアルに向けて放つ。もちろんアルには通用せず簡単に避けられてしまったが、それが罠だった。避けて万全とは言えないアル目掛けて体当たりを行い、彼の計算通りに事が運んでしまう。
アル
嘘!?こいつこれを読んで……
アル
きゃぁぁぁぁぁ!!?
 体勢を崩したアルに再度避けることは出来ずその体当たりを直接受けてしまい、後方に大きく吹き飛ばされ何度も体を地面にぶつけながら転がる。
アル
ゴホッゴホッ……
アル
流石に直撃はまずいわね…
アル
これは全然…余裕で死ねるかも
 まだ起き上がることの出来ないアルに向けて容赦なく火球を吐き出すイャンクック。それもそのはずこの世界は弱肉強食の世界…。弱き者は淘汰され強き者のみが存在することを許される世界。
 今、アルはイャンクックの攻撃によって怪我を負い立ち上がることすらもできない。先程の自然界のルールからすれば、アルはこの時点でもう敗者なのだ。それが意味するのは『死』のみである。
 アル自身それを覚悟し避けることなく目の前の光景を受け入れようとした時、後ろから勢いよく飛び出しイャンクックの火球を太刀で切り裂く何者かが現れた。
ミナト
何諦めてんだよ
ミナト
このクエスト情けないけど僕一人じゃ倒せないんだ
ミナト
まして君一人でも倒せないだろ?
ミナト
まだもう少し粘ってくれよ?
アル
ふん……
アル
ちょっと前までドスランポスに苦戦してたくせに…
アル
まぁ………いいわ
アル
今回は一つ貸しってことにしてあげる…
ミナト
ボロボロでもよく言うもんだよ
ミナト
さ、次は僕がコイツの時間を稼ごう
アル
一丁前にあんなこと言ったんだ
アル
簡単にやられないでよ?
ミナト
やられるつもりはないけどやられる時はやられるよね
ミナト
まぁ、少なくともこの時までにはそれなりの経験を積んできてる
ミナト
簡単にはくたばらないつもりだよ

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