そう言いつつも太刀を抜きイャンクックと対面する。先程のタックル後でも、平気な顔をして立っていることからやはり体は丈夫なようだ。残る可能性としては、『頭』『足』『翼』『腹部』の4つとなる。
頭は硬いかどうかは分からないにしろ、ダメージを与えるには少し位置が高い。また、足は簡単に攻撃できる分爪での攻撃のリスクが高く、太刀のリーチを持ってしても警戒するに越したことはない。
また、翼も頭と同じ理由で少し位置が高いが可能性がない訳では無い。というのもパッと見たところ風を受ける部分はほかの薄桃色の鱗とは違い青みがかった皮膚(?)のようになっている。この部分なら大きなダメージを与えることができるだろう。
最後に腹部だが、体と腹部に分けたのにはワケがある。これも翼と似た理由で鱗があるとはいえ薄桃色の鱗とは違う。つまり、さほど硬くない可能性が存在するということ。それに加えて、腹部なら太刀でも攻撃可能範囲となっている。
ざっと出したこの4点からどれを攻撃するかは、ミナト自身が決める。
抜いた太刀を構えまず一撃足に入れる。が、やはり傷は浅く鱗によってしっかり守られている。
近くによってきたミナトに対してリーチは短いがその尻尾を使いミナトを薙ぎ払う。
予備動作を察知し瞬時に太刀で尻尾による攻撃を受け流すが、質量の違いにより後ろに吹き飛ばされる。
ミナトの後方から再度弾をぶち込む。狙う箇所は頭部、使う弾を通常弾から徹甲榴弾に変えて顔にくっ付ける。
一度太刀を納刀し少し距離をとる。ミナトがイャンクックから離れた直後、顔に付着していた徹甲榴弾が炸裂し、イャンクックに多大なるダメージを負わせることに成功した。その証拠としてあの大きな耳は壊れ、強い衝撃を頭部に与えたからかその場に倒れ込みじたばたしている。
再び距離を詰めてミナトは気刃斬りを翼を中心に与え続け、アルは正面から適正距離を保ちながら貫通弾を頭部に何度も打ち込んでいく。ドスランポスであればこの時点でもう討伐は完了していてもおかしくはないが、やはり相手はくさっても飛竜種…。これだけ弾を撃ち込み、翼を何度痛めつけられようと自身が弱っているという素振りを見せることはない。
一度ミナトはその場を大きく離れ、物陰に隠れながら武器を研ぐ。その間、アル一人がイャンクックの相手をすることとなる。
徹甲榴弾によるダウンが終わりボロボロになりながらも立ち上がり大きな咆哮をあげるイャンクック。彼の瞳に映るのは一人の女ハンター。その瞳は怒りに燃えている様にも見えたが、もうひとつの可能性として彼自身のプライドのため、アルが自身を脅かす存在として認められたからこそ、そのクリっとした瞳が鋭くなったともとれる。
その問いかけに答えるように口から火球を吐き出し先制攻撃を仕掛ける。
放物線を描きながら飛んでくる火球を左に避けて回避したその体勢からまた一撃イャンクックに撃ち込む。しかし、貫通弾と言えどランクの低い弾ではイャンクックの鱗を貫くことは難しく数発に一二回は弾かれてしまう。
火球を避けられたイャンクックは再度火球をアルに向けて放つ。もちろんアルには通用せず簡単に避けられてしまったが、それが罠だった。避けて万全とは言えないアル目掛けて体当たりを行い、彼の計算通りに事が運んでしまう。
体勢を崩したアルに再度避けることは出来ずその体当たりを直接受けてしまい、後方に大きく吹き飛ばされ何度も体を地面にぶつけながら転がる。
まだ起き上がることの出来ないアルに向けて容赦なく火球を吐き出すイャンクック。それもそのはずこの世界は弱肉強食の世界…。弱き者は淘汰され強き者のみが存在することを許される世界。
今、アルはイャンクックの攻撃によって怪我を負い立ち上がることすらもできない。先程の自然界のルールからすれば、アルはこの時点でもう敗者なのだ。それが意味するのは『死』のみである。
アル自身それを覚悟し避けることなく目の前の光景を受け入れようとした時、後ろから勢いよく飛び出しイャンクックの火球を太刀で切り裂く何者かが現れた。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。