小説更新時間: 2025/07/14 08:36
完結
『Railway:白の支配者と黒の眷属』

- ファンタジー
その部屋には窓がなかった。
けれど、天井のひび割れた石の隙間から、ひとすじの月光が差し込んでいる。
赤い布が天井から垂れ、床には乾いた血が散らばっていた。すでにそれが誰のものだったのかは、誰にも分からない。
部屋の中央、椅子に縛られた男――彼は目を閉じていた。
黒い髪は汗で張りつき、喉元には噛み痕。腕には注射の痕。背中には鉄の杭が浅く突き刺さったまま。
それでも彼は生きていた。いや、“まだ死んでいない”だけなのかもしれない。
彼は苦しげに息を吐いた。
「……また、夢か……?」
低くかすれた声が、湿った石壁に反響する。
しかし答える者はいない。
「この列車は、どこまで走る……?」
誰に問いかけるでもなく、ただ、言葉は空へと溶けていく。
そのとき、かすかに扉の向こうから“足音”が聞こえた。
――コツ、コツ、コツ。
不規則ではなく、整ったリズム。まるで音楽を奏でるように、優雅に鳴るそれ。
「来たな……」
黒い瞳が、細く開かれる。
男の瞳の奥に、月のように冷たい光が灯った。
そして――
扉の向こうから、無表情な“白い男”が現れた。
けれど、天井のひび割れた石の隙間から、ひとすじの月光が差し込んでいる。
赤い布が天井から垂れ、床には乾いた血が散らばっていた。すでにそれが誰のものだったのかは、誰にも分からない。
部屋の中央、椅子に縛られた男――彼は目を閉じていた。
黒い髪は汗で張りつき、喉元には噛み痕。腕には注射の痕。背中には鉄の杭が浅く突き刺さったまま。
それでも彼は生きていた。いや、“まだ死んでいない”だけなのかもしれない。
彼は苦しげに息を吐いた。
「……また、夢か……?」
低くかすれた声が、湿った石壁に反響する。
しかし答える者はいない。
「この列車は、どこまで走る……?」
誰に問いかけるでもなく、ただ、言葉は空へと溶けていく。
そのとき、かすかに扉の向こうから“足音”が聞こえた。
――コツ、コツ、コツ。
不規則ではなく、整ったリズム。まるで音楽を奏でるように、優雅に鳴るそれ。
「来たな……」
黒い瞳が、細く開かれる。
男の瞳の奥に、月のように冷たい光が灯った。
そして――
扉の向こうから、無表情な“白い男”が現れた。
チャプター
全8話
10,298文字










