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第5話

5*
6
2023/11/23 09:00
akane
ねぇ…
akane
あなたちゃんと赤神くんは付き合ってるの?
あなた
…付き合ってないよww
あなた
…。
あれは中学3年生になってすぐのこと


運動も勉強も出来て、顔も良い


そんな莉犬くんの幼なじみである私は…


いじめの的だった




『幼なじみとして釣り合ってない』とか

『こんな奴が幼なじみとか可哀想』とか…




…私は莉犬くんに心配をかけないように


1人で耐えようとした


それがいけなかったんだ…


いじめはどんどんエスカレートして


体育館の倉庫に閉じ込められた



秋だったから肌寒かったし


暗くなるのも早くて怖かった


すぐに莉犬くんが気づいてくれて


助けてくれた


それから、莉犬くんの家に連れて行かれた



『いじめ…気づいてあげれなくてごめん』


「隠してたんだから当たり前だよ…w」


『…あなたは俺にとって、大切な子なんだよ』


「大切な子…?」


『あなたは俺のだってもっと自覚してよ…』


『はぁ…無事で良かった…あなた…』



あぁ…温かい


人の優しさに触れたのはいつ振りだろう


いつもに増して温かく感じる


それとも…抱きしめてくれてるのが…


莉犬くんだから?


…どちらにせよ、この時間がずっと続いて欲しい


そう思ったら思わず言ってしまった




「莉犬くん…好きだよ」…って




だけど、返事は帰ってこなかった


その代わり、荒々しく唇を塞がれる


あの時のことは今でもよく覚えてる


普段の優しい莉犬くんとは別人のような


目や雰囲気


それはもう…狼のような莉犬くんだった


理性を失ってるんじゃないかってくらいだった
どれだけ抵抗しても、男の子の力に敵うはずも無く


涙を流すしかなかった


そしてその直後、莉犬くんはハッとした顔を見せた


涙を流す私を見て、罪悪感いっぱいの顔で


…私から距離をとった



『傷つけて…ごめん』



一瞬見えた顔はとても余裕がなさそうだった


謝って欲しいわけじゃ無かったのに…


ただ、どうして急にキスしたのか


気持ちを教えて欲しかっただけなのに…



『…今は無理…1人にして…』



冷たく言い放たれてしまい


どうやって家に帰ったか覚えてないぐらいの


…ショックを受けた



(あぁ…振られたんだ…)



その後気まずくなるかと思ったけど


数日後顔を合わせたら…


いつもと変わらない態度で接する莉犬くんがいた


上手く線引きをされたような気がした


この前のことは無かったことにしようと…


幼なじみのラインは絶対超えないようにしようと…

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