「スターート!!」
声が響き渡った途端、全員が一目散に入場ゲートへと飛び出した。もちろん私も。
しかし入場ゲートは狭く、たくさんの人が通るとなると時間がかかりすぎてしまう。
いかにして周囲よりも早く人混みから抜け出せるか、
これが障害物競走の攻略の鍵だろう。
周りの生徒たちにもみくちゃにされながらどうするべきか考えていると、
足元に氷が現れた。
一瞬これも障害物かと思ったが、違うということはすぐに分かった。
なぜなら、半分赤色半分白色の頭をした男の子が集団を脱げ出しているのが見えたからだ。
氷系の個性だろうか…?
あの強個性っぷりからして多分ヒーロー科だろう。
すると、
髪の毛が半分の子はどうやら“轟”という名前らしい。
ヒーロー科のメンバーが轟くん?の後を追うようにして飛び出してきた。
その中には凶悪な目つきをしたお兄ちゃんもいる。
そこからは自分の個性や運動能力を活かして人混みから脱出する生徒もちらほらと出てきた。
ちなみに、心操くんは周りの生徒を洗脳して自分を運ばせているようだ。
と言いつつも、足は勝手に走り出していた。
だって個性ないし考えてる時間もったいないし……
個性がないといえども毎日筋トレしてるし、そこらの無名“ヒーロー”よりも強い自信はある。
運動しているだけなのに「パワー系」の個性だと勘違いされるほどには。
いろいろグルグルと考えながら爆走していると、いつの間にか前から数えたほうが早いような位置にまで追いついていた。
すると、みんなが止まっていた。
上を向いて固まっていたから、私も上を向いてみる。
見上げると首がもげそうなほどデカいロボットが、複数体目の前に立ちはだかっている。
「ロボ・インフェルノ!!」
みんなが固まって動けないでいる中、最初に動き出したのはまたもや轟くんだ。
ご自慢の個性で派手に敵を凍らし、道を作った。
周りの生徒が自分も、と通ろうとするが
ロボットが次々に倒れてきた。
さあどうする……!?
あなたの下の名前はにやりと笑った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。