第29話

29.二つの指輪と二人の主
1,144
2025/02/10 13:15 更新
知能天使達の計画はこうだった。
主を死んだように見せかけて誘拐し、「意識」を中身が空っぽの天使に入れて、人間に見せかけて執事達の元に戻す。
その後、記憶を失った主を天使側に引き込み、執事達に主の元の体との取引を提案する。
そこで、執事達がどのような行動を取るか実験する。
主の記憶喪失のトリガーは…
ケルビム
…天使を倒すこと、だったね
無理矢理 計画に協力させられたスローンが、頭ごなしに天使を破壊している様を横目に…ケルビムは、そう呟いた。
天使を倒した二日後に、記憶を一部消す。そうすることで、原因を推測されないようにした。
ケルビム
二度目は待ちきれなくなって、簡単に倒せるよう調整した天使を投入したけど
ケルビム
思いの外、うまくいったね
ケルビム
それにしても…たとえ主が天使でも、守り抜こうとする、か
ケルビム
…そのうち、また主を攫って天使に入れてみようかな。
ケルビム
主に執事達を襲わせたら、簡単に執事を倒せるかもしれないし…
セラフィム
じゃあ、今からそうすればいいんじゃないのかい? まだ主は天使のままでしょ?
ケルビム
…失敗した時のために、体を元に戻す方法は用意してあったからね
ケルビム
多分…もう、元に戻されちゃったんじゃないかな
ガチャ

ナック
ここにいましたか、ラムリ
ナック
それに…アモンくんに、ラトさん…ベリアンさんまで
ラムリ
げっ、ナック…
ベリアン
すみません、ナックくん。ラムリくんのことは、私が呼んだのです
ベリアン
お仕事中でしたが…
ナック
いえ、事情があったのなら仕方ありませんから
ナック
それで…みなさんは何を?
ラト
主様に、絵本を見せにきたのですが…三人がいまして
アモン
主様に、指輪を返しに来たんすよ
ラムリ
そうなんだよ。ローズくんが持ってたのと、あなたのラムリからのあだ名(名前でも◯)が持ってたの…どっちも、主様に返そうって言われてさ
ラムリ
ボクもそっちの方がいいなって、あなたのラムリからのあだ名(名前でも◯)からもらった指輪、部屋から持ってきちゃった!
ナック
そういうことでしたか…
アモン
じゃあ先に、オレの方の指輪から…
アモンは、そっと金色の指輪を取り出した。
アモン
主様…これ、お返しします。やっぱり、主様に持っていてほしいんすよ
あなた?
……
昔、指輪をしていた指に、そっと指輪をはめた。
ラムリ
よーし、じゃあ次はボクの番だね!
ラムリ
主様、こっちもお返しします。大切な指輪、もう忘れないでくださいね
そう言って、アモンが嵌めた指にもう一つの指輪を嵌めようとしたとき。
ラムリ
…ん、あれ?
ベリアン
おや、どうしましたか?
ラムリ
な、なんか…指に嵌めようとすると、押し返されるっていうか…
ラト
フム…もともとあなたさんが持っていた指輪なら、あなたさんに嵌めてもらうのはどうでしょう
ラト
あなたさんも、主様ですから
ナック
確かに…それは名案ですね
ラムリ
じゃ、さっそく行こうか!
ベリアン
そうですね。では二階の執事室に…
アモン
いや、今はハウレスさんと、コンサバトリーにいるはずっす
アモン
ずっと同じ部屋は退屈だろうって、今日はコンサバトリーに連れて行ってみたらしくて
ラト
では、コンサバトリーに行きましょう
コンサバトリーの入り口には、「あなたがいるので、入室の際はノックをお願いします」という貼り紙がしてあった。
ナック
ハウレスさん、ちゃんと徹底していますね
ベリアン
そうですね。では、ノックして入りましょう
コンコンコン
アモン
ハウレスさーん。オレっす、アモンっす
あとはラムリとラトさんとナックさんとベリアンさんっすよ
ハウレス
わかった。開けていいぞ
ガチャ
ハウレス
それで、俺に何か?
ベリアン
あなたさんに少し用事がありまして…
ハウレス
そうですか。あなた、少しこっちに
ハウレスが呼びかけると、窓の外を見ていたあなたが恐る恐る歩いてきた。
あなた
な、なんでしょうか…
ラムリ
あなたのラムリからのあだ名(名前でも◯)! ちょっと、この指輪つけてみてくれない?
あなた
えと…わかりました
ラト
ありがとうございます。嵌める指は…
ラトが言い終える前に、あなたは眠っている主と同じ位置に指輪をした。
その、次の瞬間。突然あなたの体が眩く光り、執事達は眩しさに目を瞑る。
次に目を開けると…そこには、天使がいた。
アモン
て、天使!?しかも、いつも通りの普通の天使っすよ!?
天使
……
ラト
フム…この天使、動きませんね
ハウレス
ど、どういうことだ…
その時。


ガチャーン!!


う、うわぁぁぁっ!!


ラムリ
今のは…!?
ナック
二階からですね。行きましょう
ハウレス
俺はここで天使を見張っています
ラト
私も残りましょう。みなさんで見てきてください
ベリアン
わかりました。行ってきます
ハウレスとラトを置いて、四人は二階へと向かった。
そこには…粉々に割れて地面に散らばっている花瓶があった。
そして、その隣にはフェネスが。その正面には…主がいた。
アモン
フェネスさんに…あ、主様!?
あなた
フェネス、だ、大丈夫? 怪我は…
フェネス
あ、ああ…あ、主様…っ!?
フェネスは語彙を失い、ただ驚いて主様を見つめている。
ナック
…とりあえず、花瓶を片付けましょうか
ラムリ
主様が怪我しちゃうもんね!
ラムリとナックが手早く割れた花瓶と溢れた水を掃除し終わる頃…ようやくフェネスが正気を取り戻した。
フェネス
も、戻ったんですか? 主様…
あなた
うん、そうみたい…いろいろ心配かけてごめんね
アモン
記憶とか、戻ってるっすか?
あなた
うん、覚えてるよ。悪魔執事になった後のことも、みんなが助けてくれたときのことも…さっきまでハウレスとコンサバトリーにいたことも
ベリアン
よ、よかったです…
フェネス
それにしても、どうして急に…?
ラムリ
あ、あれじゃない? 指輪!
ラムリ
指輪を主様の体とあなたのラムリからのあだ名(名前でも◯)に着けたからとかでしょ!
ナック
確かに、可能性はありますね
アモン
とにかく…戻って来てくれてよかったっす、主様
ベリアン
そうですね…お帰りなさいませ、主様
あなた
うん…ただいま、みんな!
安心し切った顔の執事達に見つめられ、あなたは少し照れながら微笑んだ。
淡井(作者)
淡井(作者)
本日は二話同時公開です。前話も合わせてお楽しみくださいませ。

プリ小説オーディオドラマ