あなたの本名(下の名前)side
大劇場公演を経て、東京宝塚劇場の公演を終えたあと
新たな話が舞い込んだ。
ーーーーそれは、
劇団史上初となるフランス公演の開催。
舞台となった作品が革命の時代を描いてることもあり
「現地の人にも観てほしい」という劇団側の熱意と、
何より、私とありの演技が世界に届いたことが発端だった。
ファンの間では、すぐさま話題に。
「星組がフランス!?」
「あなたの芸名(下の名前)ちゃんのドレス姿がパリに……見たい……!」
「オペラ座で公演とか泣くしかない!」
そしてーー
私たち星組は、パリへと旅立った。
パリに到着した初日の朝
バスから降り立った星組一行。
どこか、非日常なヨーロッパの空気に、
誰もがソワソワしていた。
暁さんのこんな一言が
私の全部を暖かくしてくれる。
公演前夜、
私とありは、パリ市内を散歩していた。
セーヌ川沿い、ランタンがゆらゆらと揺れている。
誰も私たちを知らないこの国で、
ただ隣にいるだけで、舞台上とは違う"私たち"になれた。
そう言って、暁さんは、小さな箱を取り出した。
私の目に涙が溢れて、視界がぼやける。
セーヌ川の風が、私たちのドレスとジャケットを、優しく揺らす。
星のように輝く街の灯のなかで、
私たちのキスが、誰にも気づかれず、静かに結ばれた。
パリ初日。
会場は、今までにない空気感に包まれていた。
現地の観客も、日仏合同プレスも押し寄せていた。
カーテンコールでは、拍手の嵐が15分以上も続く異例の展開に、
私たちは、最後に客席に向かって深く礼をし、
フランス語で揃って言った。
「Merci beaucoup. Nous vous aimons.(ありがとう、私たちはあなたたちを愛しています)」
ーー私たちの革命と愛は、ついに"世界"に届いたのだった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。