大橋side
『あかんなあ……』
万全やない身体は凄く重くて、毎朝毎朝ベッドから起きるのがしんどい。寝る時間が遅いくせに、夜中に何度も目が覚める。若い時はこれくらいいけてた。やけど今はすぐに疲れが溜まって、体調が悪くなる。それで流星とか、他のメンバーにも心配されて…
『こんなんやと引っ張っていけへんやん、。』
仕事面でもグループを引っ張るって自分で誓ったんに、全然達成できてへんし。俺は今日もフラフラで重たくなった身体を動かして、仕事場へ向かった。
『おはよー、、』
ナニワ「おはよー!」
今日はダンスレッスンの日。俺がレッスン場につくと、珍しく全員揃ってた。
『あれ、みんな早いな?』
西畑「もう2分前よ?今おらんかったら遅刻や笑」
『え、もうそんな時間なん?
全然時計見てへんかったわ……』
正直に言うと、家からここまでの記憶がない。近かったから多分歩いてきたんやけど、、。
振付師「おはよー」
長尾「おはよーございまーーす!!」
振付師「はい元気でよろしい」
そんなこんなでレッスンが始まった。
『っはぁ、っ』
体が重い。みんなの動きについて行かれへん。
長尾「うおっ、!!」
そう思ってたら謙杜のそんな声がして、俺の体に痛みが走った。
高橋「大丈夫っ、!?」
長尾「大橋くんごめんなさい!!
怪我とか大丈夫ですか?」
『へっ…俺………』
何が起こったかも分からへんから、大丈夫?っていう言葉に反応することができひんかった。
西畑「…はっすん謙杜とぶつかったんやで。
どっか痛いとことかない?」
『あ、そうやったん…特にない。
ごめんな謙杜。俺がぼーっとしてたから』
長尾「俺ももっと周り見るべきやったわ!
気をつけます!」
振付師「よし、じゃあもう一回今のとこからやろ」
あかん。2回も同じミスは許されへん。集中しろ、俺。頭で何回も言い聞かせた。やけど…
長尾「大橋くん、移動やで」
『ああ、こっちか』
また同じところで。今度は謙杜のおかげでぶつからへんかったけど。
『ごめんなさいもう一回お願いします、!』
そう言って立ち位置に戻ろうとした時、急に足の力が抜けて、立っていられへんくなった。
西畑「はっすん、!!」
藤原「どうした?大丈夫か?」
『ぁ…ごめっ、足力入らへんくて、』
道枝「とりあえずそっちで横になりましょ?」
大西「俺の上着下に敷いてええよ」
レッスン場やからソファとかなくて、横になれるスペースがなかったから、流星がそう言ってくれた。
西畑「よし、はっすんちょっと立てる?」
大ちゃんと丈くんに両脇を支えられながらそう聞かれて、「うん」って答えようとした瞬間、脳にぎゅーんとした痛みが襲ってきて、そのまま意識を失った。
西畑side
『はっすん、!?!』
藤原「大橋!!」
俺と丈くんの叫ぶ声は同時に聞こえた。急に意識を失ってがっくりとしてるはっすんと、大急ぎで救急車を呼び出す大人たち。
そんな光景は覚えているのに、なぜかその後の記憶は全くなく、次に記憶があるのはベッドの上で沢山の機械に繋がれながら眠るはっすんの姿を見た時やった。
『……ごめん丈くん、俺全く記憶ないんやけど
はっすん、なんやって、?』
藤原「過労。あと1日働いてたら過労死
してたくらい危なかったらしい」
淡々と丈くんは言ったけど、はっすんを見る目には涙が溜まってて、今にもこぼれ落ちそうやった。
大西「……グスッ…ごめん、ごめんなさいっ、」
『なんで流星が謝るん?』
大西「俺大橋くんに休んでって言ったけど…
大丈夫大丈夫って言うから、グスッ
そのままほっといて……グスッ…」
大西「俺があの時ちゃんと止めてれば……」
流星はそう言ってずっと泣いていた。みっちーが背中を摩っていたけど、その顔にもはや感情などこもってなくて、魂が抜けている感じやった。
『それは俺らも一緒や…気づいてたんに
行動に移せへんかった』
そんな暗いムードのとき、
大橋「だいちゃ、……」
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。