帰りのホームルームが終わり、人がまばらになった教室で絃と話しながら荷物をまとめていた
未だにあの合同合宿に驚きすぎて折り合いがつけれてない
ちょっと無理行きたくない
教科書の端を揃えて鞄に入れる
勝手に話を進めないでほしい。まぁ別にいいけど
反射的に言い返しそうになって視線をそらす
そう、今日はバレー部期末テスト対策の日
期末テストで赤点を取ると自動的に合宿に行けなくなってしまうため、点数がヤバい部員がいるかチェックしているのだ
絃は終わるまで待つよ、と言い部室の近くで待ってくれている
私マネージャーだし逃れられるかなって思ったけど無理だった
まだ部員が集まりきっていない部室の中で、今私は岩泉さんに詰められている
ダッシュして逃げてもいいが入り口付近に花巻さんがスタンバってるし、私にそんな度胸は無い
わかってるんだよ、テストごときさっさと出せばいいって
でもさ、なんか嫌なんだよ!!ふーんって反応されても点数いいねって言われても無言でも全部嫌なの私は!!面倒くさい性格!!!
もうどんな反応も深読みするし、どうしたって悪い方向に考えちゃうしそしてダメージを負う
改めて私って面倒くさい性格し過ぎてる
たぶん私がフリーズしてたから金田一が声をかけてくれた。優しいって。ありがとう
もうこれ以上時間とるわけにもいかないから、嫌だけど、まじで嫌だけどテストを出す
しぶしぶ小テストを小さな机の上に出していく
岩泉さんは私を気遣って言ってくれているのはわかるのでおとなしく渡す
岩泉さんがテストを1枚ずつとって点数を確認していく
あぁ怖い、緊張する。なんか冷や汗ヤバい。何言われるんだろ
何も言わないでほしい、何も言わないでくれ…!
自分の手元に視線を落として数十分にも思える長い体感時間を耐え、岩泉さんが名前を呼ぶ声が聞こえたので顔を上げる
うわ、余計な心配かけてる。何してんだよ私
怖い、泣きたい、帰りたい
心がマジで泣きそうになりながら、小テストを受け取りファイルに戻す
ファイルを鞄に入れて立ち上がり頭を下げた
入り口でもう一度頭を軽く下げて部室を出た
早足で絃の側に向かう
無表情の絃と、何とも言えない表情の私の視線がかちあった
片瀬side
壁に背を預け、スマホを弄る
部室から帰ってきたあなたが教室に忘れ物をしたので、ここで待つことになった
ふいに、人の声が聞こえた気がして顔をあげる
ちらっとバレー部の部室に目をやった
……ドア若干開いてる
目合わせただけで?
バレー部辛辣だな
あなたまだ元ヤン疑惑放置してんの?
性格、隠してるつもりなんだろうなあなたは
隠せてないっぽいけど
予想以上にあなたコミュニケーション問題ある
あなたの交友関係心配になってきた













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。