第27話

12話 聖なる蝶
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2025/12/05 09:00 更新
???
???
あら、おかえりなさい♪
アウルム
アウルム
なぜッ…

アウルムは目を見開いた

???
???
どうしたの?そんなに驚いて……

薄暗い部屋にいて、この女が目の前にいる


この転移装置はそもそも自宅に飛ぶものだ。いつ変えられたのか理解が追いつかなかった

アウルム
アウルム
フィエラ…ファラーシャ……
フィエラ
フィエラ
あら、名前を覚えてくれて嬉しいわ

フィエラ・ファラーシャ


異端狩り七幹部が1人 『聖なる蝶』

フィエラ
フィエラ
ネネちゃん…死んじゃったのね……悲しいわ……
フィエラ
フィエラ
あの子、凄く武闘派でイカれてて…殺す気満々だったのに………頭は弱かったのね

小さく微笑むフィエラとは対照的に

アウルム
アウルム
……
アウルム
アウルム
(そんな事…1ミリも思っていないだろ…)

アウルムは嫌な汗を流していた

フィエラ
フィエラ
そんなに怯えないで?

アウルムの銃を持つ手を優しく包み込む

フィエラ
フィエラ
無意識で私を殺そうとしたの?それとも意図的??どっちにしても魅力的ね
アウルム
アウルム
…何の用だ
フィエラ
フィエラ
殺せなかったようね
アウルム
アウルム
フィエラ
フィエラ
私、優しいけど罰は与えなきゃ……

悲しそうな言葉だが表情は酷く嬉しそうだった

アウルム
アウルム
お前は一体、俺に何をしたいんだ…さっさと殺せばいいだろう
フィエラ
フィエラ
嫌よ。じっくりじっくり痛ぶって、絶望した後に私のお人形にしたいの
アウルム
アウルム
悪趣味だな…気味が悪い
フィエラ
フィエラ
それとも…
フィエラ
フィエラ
貴方の大切な大切な…可愛いお弟子ちゃんを目の前で拷問しながら殺した方がいい??
フィエラ
フィエラ
『前』と同じように……

フィエラはアウルムを見上げその頬に触れる

アウルム
アウルム
ッツ……

脳裏に浮かび上がるのは嫌な記憶


「赤」と「白銀」


「肉片」と「死体」


辺りに充満する血の…鉄の匂い


無惨な両親の死体と、笑う女…気持ち悪いくらい大量にいる蝶


まともではなかったにしろ、今まで過ごしてた「日常」がいとも簡単に壊された


あれから何年も経って、不意に現れたこの女は一体何の為に行動をしているのか、アウルムは理解ができなかった


フィエラ目の前の女が全部壊した

フィエラ
フィエラ
あぁ、その歪んだ表情…最高に好きよ
フィエラ
フィエラ
もっと好きになっちゃうわ。アウルム…

カチャリ…

フィエラ
フィエラ
あら、

フィエラの額に銃口が当てられる

アウルム
アウルム
……
フィエラ
フィエラ
残念…

フィエラの周りに蝶が舞う

アウルム
アウルム
下手なことをするな
フィエラ
フィエラ
もう遅いわ

引き金を引くより早くアウルムの肩に蝶が止まる

フィエラ
フィエラ
我々異端狩りの幹部は奪った妖精や魔術師、魔法使いの道具を改造し、使用する事ができる
フィエラ
フィエラ
どうやって改造して使用できるのかは謎だけど……ふふ、ボスはさすがね♪
フィエラ
フィエラ
私の場合、「プシュケー」ね
アウルム
アウルム
…!?

踠くが徐々に手足の自由がなくなる。息ができない


ドシャッ…


鉛のように重くて、徐々に思考回路も可笑しくなっていく


意味がわからない…ただ、あの『蝶』が関係してるのは明らかだった

フィエラ
フィエラ
大丈夫、苦しいでしょうけど…
フィエラ
フィエラ
まだまだ始まったばかり…楽しみましょう??

フィエラの周りには光り輝く大量の蝶

アウルム
アウルム
(あの時みた…蝶は……これだったのか…)

歪みつつある思考の中、何とかこの状況を打破する方法を考える


あの時も、蝶が沢山舞っていた

フィエラ
フィエラ
哀れで、意志が強くて、弟子思いで…普通の人生を歩めない可哀想な貴方が好きよ
フィエラ
フィエラ
縛られたままで…本当に哀れ……後悔したくないから自分の身を犠牲にしてる…でも、その様も健気よ
フィエラ
フィエラ
大丈夫、殺さない…でも、貴方が後悔して次はちゃんと出来るようにするだけ
フィエラ
フィエラ
私は優しいから…貴方の愛する存在を奪うのはもっと後よ
フィエラ
フィエラ
傷つけはしない…でも、心や魔力や記憶は……私に飲み込まれてね
アウルム
アウルム
……

そうして意識は深海に沈み、思考は塗りつぶされ、食い尽くされた


最後に脳裏によぎったのは

??
??
師匠!

あの太陽のような…自分の弟子である彼女の笑顔


ほとんど惰性で、何にもなかった俺にもう一度生きる理由をくれた彼女の変わらぬあの温もりが…止まったはずの時間をもう一度動かしてくれた

フィエラ
フィエラ
あぁ、最後まで唯一残ったお弟子ちゃんを想ってて好きよ
フィエラ
フィエラ
貴方は強いけど、弱みを握られると弱い…その性格も相まってとても愚かで仕方ないわ


























??
??
師匠…今頃何をやっているのでしょうか?
イレイサ
イレイサ
うーん、忙しいからって言われてるけど……きっと研究でしょうね
イレイサ
イレイサ
リュアンちゃんもごめんね〜?色々手伝ってもらっちゃって

イレイサ・フォース
『陽天の魔術師』 魔術師養成学校教員

リュアン
リュアン
いえ、大丈夫ですよ

リュアン・メビサルム
『玻璃の魔術師』 アウルムの弟子

イレイサ
イレイサ
可愛いわ〜、あとでいっぱいお菓子あげちゃう♪
ニコラス
ニコラス
やれやれ、アウルムは研究熱心なのはいいが…こっちでの役割もあるのだから忘れないで欲しいものだ

ニコラス・クロリアナシア・アステリア
黒羊シュブ=ニグラスの魔術師』 魔術師養成学校学園長

リュアン
リュアン
ニコラスさん
ニコラス
ニコラス
して、リュアンよ…こっちで学ぶつもりはないか?
リュアン
リュアン
…師匠があまり良く思ってなさそうで。聞いてはいるんですけど……魔術師以外の選択肢も広げておけと
ニコラス
ニコラス
…アイツは変わらないな……
イレイサ
イレイサ
学園長、そんな風に言って彼の事気にしてるじゃないですか?実が今何やってるのか知ってるんじゃないですか〜??
ニコラス
ニコラス
知っていた所でお前に教える義理はない
ニコラス
ニコラス
私が言うのはアイツがお前らにすでにした話だけだ。私からは何も語らない
ニコラス
ニコラス
……まぁ、でも。知りたいなら酒を飲ませればある程度緩くなるだろう
リュアン
リュアン
お酒…ですか
イレイサ
イレイサ
確かに〜
ニコラス
ニコラス
君の前で飲んだ事ないかもしれないが…一回くらいやってみてもいいと思うぞ
イレイサ
イレイサ
なら、今度誘って飲みましょうよ学園長
ニコラス
ニコラス
あぁ、そうだな…

そう言って煙草を吸い始めるニコラス

ニコラス
ニコラス
知らぬ方がいい真実もある……か、
ニコラス
ニコラス
何事も固執はよくないな…アウルムよ……
イレイサ
イレイサ
学園長?
ニコラス
ニコラス
リュアン、せっかくだからイレイサの授業を見てきなさい。色々学べるぞ
イレイサ
イレイサ
そうね!!それでアウルムくんをびっくりさせましょう!!!!
リュアン
リュアン
!!
リュアン
リュアン
頑張ります!
ニコラス
ニコラス
若いのはいいねぇ…

ふぅ…と煙草の煙を吐く

ニコラス
ニコラス
そろそろこっちでも本格的に動くべきかな

そう言いながらニコラスは煙草を灰皿に押し付けた

ニコラス
ニコラス
確かに、君は何もするなと言った…無論私が動く事はない……一教師のために、他の生徒や教員を危険に晒すことは私にはできないからな
ニコラス
ニコラス
……だが、時代は変わる。そろそろ私もアレらを本気で相手しようではないか

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