第3話

俺の運と君の運(マサイ夢)
982
2023/05/06 11:38 更新
マサイ
空から女の子が降ってきたら…抱きかかえる、か笑
俺は、さっきの撮影を振り返りながら、自分の答えにツッコんでいた。

「マサイに100の質問」ってタイトルになる予定の動画だ。

テンポよく答えなくてはならなかったため、面白くできたかどうかは分からない。

それでも。
俺らしさは出せたんじゃないかと思う。

その中で、「あ!空から女の子が!どうする?」みたいな質問があったのだ。

それに対して、俺は。
「抱きかかえる!大好き!」という、返答をした。

だって。
そんな非日常的なことが起こったなら。
それは運命に違いないから。
マサイ
ま、ありえねぇけどなw
ハハッと笑いながら、マンションのエントランスに向かおうと、側道を歩いていた…
その時。
あなた
え!!うそ!!
ごめんなさい!!!!
どいてっ!!!!
真上から、声が聞こえた。
マサイ
は?!
咄嗟に頭上を確認して、反応するまで。
ほんの0.数秒だったと思う。

先程まで"あるわけない"と、たかを括っていた出来事が、現実に起きてしまったのだ。

正確には、降ってきたのではなく。
2階の窓から飛び降りた、女の子だったけれど。
マサイ
わぁぁぁぁ!!!
俺は、体勢を崩して尻もちをつく。
それでも、何とか、その子を抱きかかえることができた。
マサイ
〜〜〜っ!!
強く打ちつけたケツが痛え。
あなた
え、だ、大丈夫ですか!!?!
どうやら女の子…というか、おそらく俺とそう歳の変わらない女性は、怪我もなく無事なようだ。

すぐに立ち上がり、尻もちをついた俺を心配してくれている。
マサイ
あ〜…うん、たぶん?
俺も、ゆっくりと立ち上がってみる。
明日辺り、強張った全身が筋肉痛になりそうだけれど。
骨が痛むわけではないから、何とか大丈夫だろう。
あなた
本当にごめんなさい!!!
あの、病院に行かれたら…治療費お支払いするので、ここに連絡いただけますか?
そう言って、差し出されたのは名刺だった。
そこには、電話番号と、LINEのIDが記されていて。
もちろん、彼女の名前も知ることができた。
マサイ
…あなたさん。
あなた
はい!
俺は、彼女の名前を呼び、改めてあなたさんを見る。

身長は160センチぐらいだろうか。
"綺麗"というより、" 可愛い"という言葉がしっくりくるようなタイプだ。

それにしても。
マサイ
なんで、2階から…。
落ちてきたのか。
それだけが疑問として残った。

何となく。
飛び降り…とか、そんな雰囲気ではないような気がする。

俺の予想通り、あなたさんは、ケロリと答えてくれた。
あなた
や、その方が早いんで。
マサイ
は???
意味が分からず、尋ね返す。
あなたさんは、苦笑しながら説明してくれた。

どうやら、一人暮らしではあるのだが、親が心配性のため、フロントマネージャーに外出回数を報告させているらしい。
あなた
外出が多いからって、別に何を言われるわけでもないんですけど…。
フロントマネージャーと目を合わせるのが億劫になって。
なるほど。
…うん、だからといって、2階から飛び降りるのは違うと思うが。
あなた
…でも、人様に迷惑かけるようじゃだめですね。
次からは気をつけます。
へへへっと、頭を掻く仕草とともに見せる笑顔を、俺はすごく可愛いと感じた。


そして浮かぶ、撮影で放った言葉。

"大好き!"
"運命だろ!"

もしかしたら本当に。
これは、運命なのかもしれない。
そう、感じてしまった。
マサイ
あ、の…っ!
急に上がる心拍数に、俺はその勢いのまま想いを伝えようとしたけれど。

それは、次の彼女の言葉に遮られてしまった。
あなた
あ、やば!
えっと、本当にすみませんでした!
彼氏待たせてるので、行きますね!
"彼氏"
その可能性を微塵も考えていなかった自分にも驚きだが。
その言葉に、衝撃を受けている自分にはもっと驚いた。

ペコっと一礼をしてから去っていく後ろ姿を、ジッと見つめる。
マサイ
…運命かと、思ったんだけどな。
呟いた言葉は。
誰にも届かず、風にのって消えていった。
後日、俺はその話を、動画公開と同時にメンバーに話した。
シルク
あはははwww
めっちゃウケんだけど!!
モトキ
タイミングと、マサイの運ねw
ダーマ
相変わらず運クソだなw
案の定、みんな笑い飛ばしてくれて。
俺の気持ちはグッと楽になる。
マサイ
だよなー!w
と言いながら、俺の運は、全部こいつらに出会うことに費やしちまったのかな、なんてガラにもないことを考えた。
ンダホ
で?その子、可愛かった??w
ンダホも、笑いながら話を掘り下げる。
マサイ
あ、あぁ。
まぁな。
シルク
へー見たかったなーw
ダーマ
連絡先教えてもらったんだろ?
マサイから連絡すれば??w
マサイ
なんでだよw
ダーマ
運命感じましたーとかってさw
ザカオ
いや、それ普通にキモイだろw
ケラケラと笑いながら、好き勝手に喋るメンバー。
でも、ちゃんと一線は弁えててくれるから。
俺の調子が戻ってきたことを確認すると。
モトキ
さ!
気を取り直して、今日の撮影やろーよw
ンダホ
今日はンダホ企画ーw
こんな風に、サラリと日常に戻してくれる。

俺は、心の中でメンバーに礼を伝えてから。
いつものように、全力で撮影に臨んだ。

あの出会いを、小さな思い出にして。






そう、思っていたのに。
マサイ
え、えぇ!?
ま、また!?
俺が思っていた以上に、運命の糸というものは、太い結びつきだったようだ。

スタジオでの撮影の帰り。
俺は、マンションのエントランスで彼女とぶつかったのだ。
あなた
あ…この前は、どうも。
ペコリと頭を下げるあなたさん。
あの日と違って、今日はエントランスから出てきたところを見ると、飛び降りは止めたようだ。
あなた
あの後、特に痛みとか出なかったですか??
どうやら気にしてくれていたようだ。
そんな些細なことに、ときめく自分に戸惑う。

やべーな。
全然思い出にできてねぇじゃん。
マサイ
あー大丈夫大丈夫!!
結構、普段から動いてっから!
筋肉痛にもなんなかった!
そんなモヤモヤを吹き飛ばそうと、いつも以上に明るく振る舞う。

あなたさんは、俺の言葉を聞いて、ホッとしたようだ。
あなた
良かった…。
薄く笑う彼女は、前と変わらず可愛い。
でも。
本当に何となくだけれど。

以前よりも元気がないような気がした。
マサイ
……えっと。
思い出にするためには。
これ以上傷つかないためには。
ここで、サッと別れる方が正解なんだと思うけど。

残念ながら、俺はあえてバカな道を選んでしまった。
マサイ
…なんか、あった?
あなた
…え?
マサイ
いや、その…。
元気、ないから。
あなた
…!!!
驚いた、あなたさんの顔。
そりゃそうだ。
まだ、たった2回しか会っていない人間に、何が分かると言うのか。

でも。
気になっちまったんだから、仕方ねーだろ。
あなた
…やっぱり、マサイさん…ですね。
ポツリと呟かれた言葉。
マサイ
俺のこと、知ってたんだ?
どうやら、俺がFischer’sのマサイであることを、彼女は知っていたようだ。

でも、"やっぱり"って?
あなた
…すみません。
知らないふりをするつもりじゃなかったんですけど。
マサイ
いや、いいよ。
それは、別に。
マサイ
それより。
さっきの「やっぱり」って、どう言う意味?
俺は、素直に気になったことを尋ねてみる。
あなた
や、深い意味はないんです。
私、結構Fischer’sさんの動画見るんですけど。
何となく、マサイさんが一番メンバーの変化に敏感な気がしていたので。
あなた
よく、人のことを見ているな…って。
それだけです。
と、また薄く微笑む。

そんなことを言われたことがない俺は、普通にビックリした。
どちらかというと、そういうのはシルクやモトキのイメージが強い。

さっきだって。
俺の気持ちの変化をちゃんとキャッチしてくれた。
マサイ
やー…そんな、ことは…。
あなた
でも。
私の変化には気づいてくれました。
あなたさんは、何故か自信ありげに言い切った。
そして。
自分が落ち込んでいる原因を、説明してくれたのだ。
あなた
私、この前。
マサイさんと会った日に。
彼氏に振られたんです。
マサイ
え!!?
俺は、全く想像していなかった言葉に、思っていた以上の大きな声を出してしまった。
あなた
…私、全然気づかなくて。
あの日も、いつも通りのデートだと思って出かけたんですけど。
ダサいですよねーと、困ったように笑うあなたさんに。

俺は、情けないことに、何と声をかけたらいいのか分からなかった。
あなた
…ちょっと、しばらくは、らしくもなく落ち込んでたんです。
でも。
マサイさんのおかげで、今日は外出する気になって。
マサイ
俺の、おかげ??
あなた
はい!!
今日アップされた動画を見て。
あー、やっぱりマサイさんだな…って。
あなた
何となく、前向きになれて。
まさか、本物とぶつかるとは思ってもいませんでしたけど笑
そう言って笑った顔は、確かに少し明るくなったように感じた。
あなた
まさに、運命感じる!ってやつですねw
きっと。
今日の動画の内容と、初めて出会った時のこと。
そして、今の瞬間を重ねて言っているのだろう。
マサイ
ほんとにな!!
俺は。
知らないところであなたさんの役に立っていたようだ。
それが、嬉しかった。
あなたさんと別れ。
俺は部屋に戻る。

すると、玄関でチクワが出迎えてくれた。
大好きなチクワ。
ご機嫌なチクワの写真を撮って。
何となく。
もっと元気になってくれたらと思い、俺は初めてあなたさんにメッセージを送った。
チクワの写真を添付して。
マサイ
…だぁ〜〜〜っ!!!
…まるで、チクワを出しにしてるみたいじゃん…。
送ってから、ソファの背もたれに身体を埋めて喚く。

ほんと、何やってんだろ、俺。
自分が自分じゃないみたいだ。

もちろん、普段から理論的に動くタイプではないけれど。
こんなに自制がきかないものなのかと、不思議な気持ちになる。

はぁ…、とため息を吐き。
何となしにスマホの画面を見ると。

ピロンという小さな着信音とともに、あなたさんからのメッセージが届いたと表示された。
マサイ
ぅえ!!?え!!
や、こちらから送ったのだから。
返信があることに別段驚くことではないのかもしれないけれど。

俺はドキドキしながら、トーク画面を開く。
その様子を、チクワは足元でジーッと見つめていた。
あなた
「チクワだ!!可愛い!!さらに元気でました!!ありがとう!!」
マサイ
ぷっ!w
その、ビックリマークの多いメッセージに、俺は思わず吹き出してしまう。

きっと。
とても元気で明るい子なんだろう。
失恋を乗り越えて、前向きに生きてくれたら良いな。

そんなことを考えながら、何度かやり取りを繰り返した。

そして。
俺の…というか、YouTuberあるあるかもしれない。
気を許すと、すぐに距離を縮めてしまう。
そんな悪い癖が出た。
マサイ
「同じマンションなんだし、また本物のチクワ見においで!」
軽々しくも、そんなメッセージを送ってしまった。
失恋したばかりの女性に対して。
"部屋においで"なんて。
マジで最低な言葉だ。

送信してしまったあとに、自分の失態に気づき、背筋が凍った。

慌てて取り消そうとしたのだが。
時すでに遅し。
既読サインが付いてしまった…。
マサイ
マジでサイテーじゃん…。
既読サインがついてから。
返事がくるまでの時間がものすごく長く感じる。

どうしよう…。
弁解しようか…いや、下手に言葉を繋げると、悪循環に陥りそうだ。
マサイ
あ〜〜〜…
俺が頭を抱えていると。

ピロン♪

やっと。
返信がきた。

俺は、恐る恐る、そのメッセージを見る。

そこには。
あなた
「本当に良いんですか?」
との文字が。

これまた、返信に困る流れだ。
でも。
ここまで来てしまったら。
"特に何も考えていません"という、おバカスタイルを貫き通した方がいいだろうと考える。
マサイ
「いいよいいよー!いつでもウェルカム!チクワも喜ぶよ!」
なんて、アホ全開のメッセージを送信した。

そのまま、ソファに倒れ込む。
チクワが心配そうに頬を舐めてくれた。
マサイ
俺、ぜってー恋の駆け引きとかできねぇわ。
チクワを撫でながら、ドッと気疲れしている自分に気がつく。

ピロン♪

そのまま気怠げにあなたさんからのメッセージを読む。
そして、俺は勢いよくソファから落っこちた。
あなた
「じゃあ、この後、帰りに寄らせてもらってもいいですか?」
マサイ
は、はぁ!?!?
今日!!?!
あまりの急展開に、俺は頭がついていかない。
部屋は、撮影のこともあるし、いつでもメンバーが来られるように綺麗にしている。
だから問題はないのだけれど。

それに。
俺から誘ったのだ。
しかも、いつでもウェルカムだとも言った。

ここで断ったら。
ただの嘘つきじゃないか。
マサイ
「おぅ!いいぜ!何時ぐらいになる?」
あなた
「あと1時間ぐらいで帰ります!」
………覚悟を決めよう。
俺は、スマホを握りしめたままチクワを抱きしめた。
マサイ
頼んだぞ、チクワ!
チクワ
わんわん!!
そして。
とりあえず。

俺はメンバーのグループLINEで、

「速報!例の彼女、マサイ宅訪問!」

とだけ送信した。
あなた
お邪魔しまーす。
1時間後。
予定通り、あなたさんは俺の部屋を訪れた。

きっと。廊下のどこかでメンバーも様子を伺っていることだろう。
シルクやモトキも同じマンションだから。

あなたさんを部屋に招き入れて。
姿は見えないけれど、メンバーに向かってグッといいねのサインを送ってからドアを閉めた。
マサイ
チクワー!おいでー!
チクワ
わんわんっ!!
尻尾を振りながら、チクワが駆け寄ってくる。
その姿を見て、あなたさんは黄色い声をあげた。
あなた
やーwww
本物ー!!!可愛すぎる!!!
その場にしゃがみ込み、手の甲の匂いをチクワに嗅がせる。
その仕草は、仲間意識の高い犬の習性をよく理解しているものだった。
マサイ
犬、飼ってんの?
あなた
実家で飼ってたんだw
去年死んじゃったけど…。
マサイ
そっか。
あなた
でも!18年も生きてくれたから!
チクワもまだまだ楽しめるねw
ニッコリ笑って、俺を見上げる。
それは、さりげない励まし、だろうか。

チクワが、シニアと呼ばれる年齢であることを、きっと動画を通して知っているんだろう。

その優しさに、心があったかくなる。
マサイ
おぅ!!
チクワもFischer’sだもんな!!
これからも一緒にバカなことしよーな!
そう言って、俺はチクワの頭をワシャワシャと撫でた。



その後、あなたさんをリビングまで案内して。
ソファに座ってもらった。
チクワは、あなたさんのことが気に入ったようで、膝の上でお腹を撫でてもらっている。
マサイ
警戒心なさすぎだろ、お前。
何気なく、チクワに向けて言った言葉だが。
それは、俺にも、あなたさんにも。
当てはまる言葉だった。
あなた
……えっと。
マサイ、さん。
チクワを撫でながら。
あなたさんは、少しだけトーンを落とした声で呟いた。
マサイ
ん?
コーヒーを淹れながら、俺は軽く返事をする。
あなた
…今から、いくつか質問しても、いいですか??
マサイ
あぁ、もちろん!
今日の動画で100個も質問に答えたけどなーなんて、ちょっと茶化しながら、先を促す。
あなた
私との出会いに、運命を感じましたか?
そのどストレートな質問に。
俺はドリップしていたコーヒーを少し溢してしまう。
マサイ
…あっつ!!!
あなた
え?だ、大丈夫ですか?!
慌ててソファから立ち上がるあなたさんを静止させて、大丈夫だと告げる。
俺の内心は、動揺しすぎて全く大丈夫ではなかったけれど。

そっと、コーヒーをあなたさんに手渡し。
少し離れた場所に座る。

チクワが、俺の方に来て手首を舐めてくれた。

まるで、応援してくれているみたいだ。
マサイ
…ん。気持ち悪いと思われるかもしんねーけど。
俺は、運命を感じたよ。
真っ直ぐに。
あなたさんを見つめて、答えた。
あなた
……っ!!
じゃあ、私を部屋に呼んだのは。
下心があったから、ですか?
マサイ
……正直、否定はできない。
でも、決して身体目的じゃない。
もっと、近づきたいと…純粋に、そう思ったから。
少しでも。
俺の本心が伝わるように。
一つ一つ、言葉を選びながら話した。
あなた
……じゃあ。
すぐに、心変わりする女性について、どう思いますか…?
マサイ
…え?
質問の意図が分からず、思わず聞き返す。
そして、気づいた。
あなたさんの手が、震えていることに。
あなた
…やっぱり、嫌です、よね。
信用、ないですもんね。
マサイ
…や、えっと…。
俺は、バカな頭で必死に考える。
あなたさんは、すぐに心変わりする女性についてどう思うかと尋ねてきた。
心変わり、つまりは、好きな人が変わることだ。

例えば、彼氏がいるのに、他に好きな人ができたり…

そこまで考えて、俺はハッとした。
マサイ
え、あなたさん…?
あなた
……っ!!
ごめんなさい、やっぱり帰ります!!
サッと立ち上がり、玄関へ向かおうとするあなたさんの腕を、俺は咄嗟に掴む。
マサイ
ちょ、待って!!
その制止に、あなたさんは素直に足を止めてくれた。
俺は、それにひとまずホッとする。
マサイ
…俺、バカだから。
もしかしたら、間違ってるかもしれないけど。
聞いて?
あなたさんは、こちらを振り向いてはくれない。
でも、掴んだ腕を振り払われることもない。
俺は、それを肯定と捉えて、話を続けた。
マサイ
俺、あなたさんのこと。
すごく気になってる。
もっと仲良くなりたいし、近づきたい。
マサイ
一度は、彼氏がいる人だから…って、諦めようともしたけど。
でも。
もし、チャンスがあるなら、俺は頑張りたい!
あなた
……っ!!!
マサイ
もし、あなたさんが、今。
元彼よりも、俺のことを気にしてくれてるんだったら。
それは、すげー嬉しいよ!
俺の言葉に。
あなたさんはゆっくりと振り向いた。

その表情は、今にも泣きそうで。
あなた
…私、本当に、元彼のことを大事に思ってたんです。
でも、振られて…。
そんな時に、マサイさんの優しさに触れて…。
まるで、マサイさんを利用してるみたいで…近づいちゃダメだ…って。
サイテーだ…って。
マサイ
…うん。
あなた
…でも!!
どんどん惹かれている自分を止められなくて…っ!
俺は、フワリと。
彼女の身体を引き寄せて、包み込むように抱きしめた。
マサイ
…じゃあ、これで。
俺もずるい男だよな…?
気になる女性を、無理やり抱きしめてるんだから。
だから、"おあいこ"だと言って。
俺はニカッと笑った。
これ以上、自分を追い詰めてほしくなかったから。
俺は、君のその気持ちが素直に嬉しいんだって。
そう伝えたかったから。
あなた
……っ!!!!
優しすぎます、マサイさん…っ
とうとう、嗚咽を漏らしながら泣き始めたあなたさん。
俺は、そんな姿も可愛くて、よしよしと頭を撫でてやる。
チクワ
くぅ〜ん
チクワも、あなたさんを慰めようとしているのか、彼女の足元に擦り寄っていた。
あなた
……もう…。
私の運、マサイさんとチクワとの出会いで全部使っちゃったかも…。
そう呟いたあなたさんの言葉は。
俺が昼間に呟いた言葉と酷似していて。

思わず笑ってしまった。
あなた
???
不思議そうに見つめる彼女に、何でもないと伝えて。
マサイ
まだまだ曖昧な関係だけど。
自信をもって、俺のことが好きだって言わせてみせるから。
あなた
……!!うん!
マサイ
俺も、近いうちに、ちゃんとロケーションとか考えて告白するから!
まぁ、もう告白してるようなものなんだけど。
それでも。
そこは男として頑張りたいところではあるから。

どうか、もう少しだけ待っててほしいとお願いした。

すると、その言葉を聞いたあなたさんは、花が咲き乱れたような笑顔を見せてくれた。
結局。
あなたさんを家に帰した後で、グループLINEを確認すると。

とんでもないことになっていた笑

俺を他所に盛り上がるメンバー。

お前ら暇なのか?と、突っ込んでやろうとも思ったが。
俺は、この幸せな余韻にもう少し浸るべく。

とりあえずFischer’sアイキャッチの「OK」スタンプだけを送信し。
通知を切った。




どうやら、俺の運も、まだまだ捨てたもんじゃないな、なんて思いつつ。

俺は来る幸せな未来を想像しながら、眠りについたのだった。




fin.
あとがき


短編とは…とツッコミたくなるぐらい、長くなってしまいました…。すみません。

短編集第3作目は、のんのん様リクエストのマサイ夢小説でした!

100の質問コーナー大好きすぎる作者です笑

マサイのおバカさと、ある意味の賢さを表現するのが難しい反面、勝手に動き出してくれた部分もあって、楽しかったですw

GWリクエスト企画にご参加いただいた皆様、そして、ここまでお付き合いいただいた読者様に感謝申し上げます!

本編のシルクロード夢小説は、毎日更新しておりますので、そちらもよろしくお願いします。


おゆ

プリ小説オーディオドラマ