mz side
ふと呼んだ彼の声に、けちゃがあっちを向いた。
そう言って、けちゃは俺の手をすり抜けるように、ぴょんと彼の隣に行ってしまう。
その一瞬、けちゃの服の端を、指で掴みかけて……止まった。
けちゃを引き止めようとして、でもできなかった俺のその手。
──この関係、壊したくない。でも、譲る気もない。
俺もまた、けちゃが好きなんだ。
だからこそ、このゲーム、負けられない。
pr side
けちゃが隣に座っていると、なんてことない仕草が、全部かわいく思えてしまう。
カフェのストローをくるくる指で回す仕草も、
気づけば俺のマグカップを覗き込んでくるところも。
──あぁもう、好きになってまうやろ。
けど、正直に言えば、俺はもうとっくに好きや。
けちゃの「まぜち〜」って甘える声を聞くたび、胸がちょっとだけ痛む。
あいつにはあんな風に笑うくせに、俺に向ける笑顔はどこか、素のままや。
飾らん笑顔を見せてくれる分、俺にとっては、それが逆にしんどい。
だけど……それでも欲張ってしまう。
俺だけに見せる顔が、もっとほしい。
だから、今回の映画も、ちゃんと計画して取った。
まぜ太の前で「衝動っぽく」見せたけど、実際は何日も前から準備してた。
まぜ太が、けちゃを好きなのも知ってる。
けちゃがまぜ太に懐いてるのも、痛いほどわかってる。
でも。
俺やって、負ける気はせん。
kty side
映画のチケットを差し出された瞬間、驚きすぎてちょっと顔が熱くなった。
うそ、ぷりちゃん、そんな準備してたの……?!
そう思いながら、でも素直に「うれしい」って言えなかった。
なんか照れるから。
僕、動画のときみたいに「好き〜!」とか言えたらいいのに。
でも、こうやって素で優しくされると、逆に言えなくなる。
しかも……まぜちが…
いつもなら、「行くな」なんて言わないけど、今日のまぜち、ちょっとだけ、悲しそうな顔してた気がした。
僕の気のせいかな……?
ぷりちゃんと一緒にいるのは、楽しい。
でもまぜちと一緒にいるときも、安心する。
どっちが“好き”とか、よくわからない。
けど、どっちも大事で、どっちも……大好き。
こんな気持ち、どうしたらいいんだろ……
To be continued …












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。