悪い夢を見て目が覚める。
身体を起こすと、すぐ近くにあなたさんがいた。
外から悲鳴が聞こえる。
外に行くと、女性が泣き喚いている。
俺は直ぐに服を着替えて、社の方へ走る。
そこには、時麿が殺されていた。
近くで乙米が座り込んでいた。
そう言い始めた男を、周りが咎めるように肩を掴む。
すると、怪しい者を捕らえたと報告に来た男達。
その者を連れてきた、と。
カラン、コロン……
下駄の音が嫌に響く。
雨の音など気にならないくらいに。
階段を登ってきたのは、電車の中で見かけた着流しの男。
昨日、離に案内してくれた男がそう零した。
後ろからそう聞こえ、振り返るとあなたさんが信じられない物を見たかのように目を見開き、口元に手を添えていた。
そして、バツが悪そうに顔を逸らした。
……知り合いか?
暫く傍観していると、分家の人達が、この着流しの男が時麿を殺したのだと決め付けた。
そして、この場で斬首する、と。
男が斧を振り上げた。
思わず口を出していた。
俺は雨が降っているのを気にせず、屋根の外に出る。
そこで、分家の人達の目がとても冷ややかな事に気が付いた。
正しい事をしたはずなのに、まるで悪い事をしたと錯覚するほど。
社長が味方をしてくれたお陰で、何とか斬首は免れた。
…………のだが。
渋ったところで話は変わらない。
俺は渋々受け入れた。
聞いていないのか、目を丸くするあなたさん。
牢の中で着流しの男が反応する。
それだけ言うと、長田は男達を引き連れて、部屋から出ていった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。