「柚!なんでここに?!」
「―Avatar―が発売したけん二人と買いに行こ思て二人の家行ったん!そしたら二人とも居らんけん!」
「春が家に居なかったのは僕の家にいたからで、僕の家にも居なかったのは僕たちが出たあとだったからか」
いや何で柚も今すぐ買いに行くのが当たり前みたいになってるの、このゲーム好き共め。
でも何で俺たちがこの店にいるって分かった?
「夕のお母さんが教えてくれたんよ、
『なんかゲームの話したと思ったらバタバタして出てったよ〜』って!すぐわかったわ!なんで二人で行くん?!」
「俺はそんなつもりなかったけど、夕が走り出して」
「春が今すぐ買いに行きたいって」
夕?!お前!
「もー!おばあちゃんが作ってくれた羊羹二人にもあげようと思って持ってきたけど、やめたわ!」
「「え!」」
「え!じゃないわ!あんなに言ってたのにもう!もう!
ばかあほまぬけ!初プレイまで勝手に行ったら知らんけんね!」
それだけ言うと柚は店内に行ってしまった。ああなったら追いかけても無駄だなぁ…。トモばーちゃんの羊羹…。
「今度あいつの好きな菓子あげないとね…」
「なら僕はムっちゃんイカ渡そ」
「夕は俺にも買えよな」
「え、嫌だよ」
え、嫌だよ。じゃないよ。元はといえば夕のせいなんだからな。何けろっとしてんだ頭叩くよ?
「どうせならこのまま買いに行けばいっか」
「は?俺金持ってきてないけど」
「ふーん、じゃあまたね」
「ええ………。」
まじかよ。俺何でこんなのと友達になったんだっけ…。
「春は何、風船ガムとかでいい?」
「…買ってきてくれるの?」
「春に買うより柚に買ったほうがまし」
こういうやつで気が楽だからなったのか…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。