「よっし!準備完了!」
俺は今とてつもなくわくわくしている!
なぜなら今俺の手には
この―Avatar―のカセットが握られているからだ。
早速目にゲーム機をつけて―Avatar―を起動した。
「うおー!!体が現実と変わらず動く!!すげー!」
〈Playerの声を受信しました〉
「うわぁっ?!なに!?」
目を開いた瞬間広がる光景と自分の体の感覚に感動して声をあげると、ピロリンッ!と音がしたあと機械音声が聞こえた。
『こんにちはPlayer!Playerのお名前はなんですか?』
突然白いもふもふが現れ、
目の前に透明のタイルのようなものが出てきた。
「うわっ!すごーい、かわいいー!」
『ありがとう!…Playerのお名前はなんですか?』
浮いてて可愛い物体の周りをくるくるしていたら
白い物体がまた喋る。
そうだ、名前聞かれたんだった。
アバターじゃなくてPlayerの、ってことは俺の名前だよね。
このタイルに打ちこむっぽい。
「鐘、桜、春、輝(しょうろう はるき)っと!」
『…。PlayerID、Haru0403で間違いありませんか?』
「はい!」
『―Avatar―の利用規約に同意しますか?』
「もちろん、はい!」
このフワフワはNPC。
まあ上に〈もるもふ〉って書いてあるし分かるんだけど、
それにしても可愛いなぁ。ゲーム内にもいるのかな。
『それでは次にPlayerのAvatarを設定して頂きます!
Avatarは貴方の分身であり、一度設定してしまえば
変更は出来ません。満足するまで設定してください!』
「はーい!」
『それでは、設定が完了されたときにまた来ます!』
俺にとってここまではお馴染みだ。
おばあちゃんは「私のときは形の似たゲーム機はあったけど、ここまで感覚を現実に寄せたゲームはなかったよ」
って言ってた。
おばあちゃん、このゲーム見たら驚くだろうなぁ。
「よっし!気合い入れてアバター作るぞ―!
満足するまでねぇ…、どこまで出来るかなっ」
目の前のタイルを見ると、
俺の体を元にしたノーマルボディのキャラがいる。
これを自分好みに変えてもいいし、
このまま俺の姿でやってもいいということらしい。
「うおー!何時間でもやるぞー!」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。