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第111話

🐿️LAST LOVER05
2,363
2024/03/22 00:26
 




 付き合った日よりも

 見送った日よりも

 遥かに大きくなった身体に抱きしめられると

 溢れ出る涙は止まらない



 
ホソク
ホソク
ごめんね…っ、
寂しかったよね
あなた
っ…、


 “大丈夫だよ”

 “たくさん連絡くれるし待てるよ”




 いつものように、

 そう言いたいのに、

 決壊した想いは止まりそうにない


ホソク
ホソク
ほら、おいで?



 シーツの中から抱き上げられて

 ベッドに腰掛けるホソクの身体に抱きしめられる






 寝起きで、まだポカポカした身体には

 ホソクの身体はまだ少し冷たくて

 帰ってきてすぐに寝室に来てくれたのがわかった




 
ホソク
ホソク
会いたかったよ。
ごめんね…
あなた
私もっ、会いたかった


 毎日メッセージでやりとりしていても

 電話で声を聞いていても

 テレビ電話で顔を見ていても




 やっぱりそんなんじゃ足りない





 会って、目を見て

 抱きしめられたかった


ホソク
ホソク
この休暇は、
ずっと側にいるよ
あなた
えっ…?
ホソク
ホソク
あなたのためだけに
帰ってきたから
あなた
ほん…っ、とに?


 今まで、私だけのために

 休暇を使ったことなんてない





 毎回、時間は作ってくれていたけど

 最優先は仕事だった


あなた
でも、家族に会わなきゃ…


 ホソクを恋しがっているのは

 私だけじゃない




 ご両親だって、オンニだって

 いつも恋しがってる


ホソク
ホソク
大丈夫ㅎ
さっき会ってたし
あなた
さっき!?
ホソク
ホソク
迎えに来てくれてたから。
帰りも送ってもらうよ。
それで時間は作るから大丈夫
あなた
ほんっ…と?
いいの?


 嬉しいけど、

 私だけが独り占め出来るなんて

 申し訳ない気持ちがある

ホソク
ホソク
うん!
あなたに誕生日を祝ってほしくて


 

 明日は、ホソクの誕生日



 それに合わせて休暇を取って、

 帰ってくるなんて…





 ロマンチストな彼だから

 私のためにやってくれたとしか思えない

あなた
一番にお祝い…できる//
ホソク
ホソク
そうだよ?
今年だけだからね?
あなたに一番に祝ってもらえるのは


 そうだ…。



 きっと、来年は0時になる瞬間を

 一緒に迎えることはできない




 彼は、そういう人だから


あなた
…、嬉しい//


 ホソクの誕生日のはずなのに、

 私がプレゼントを貰ったみたい




 こんなサプライズが待っているなんて

 思いもしなかった

ホソク
ホソク
ちょっと待ってて。
朝からやり直そう
あなた
えっ…?
ホソク
ホソク
シャワーしてくるから、
寝てて?


 何のことかわからずに

 ベッドにポツン…と、残されて

 閉まった扉を見つめる


 遠くの方で

 バタバタとホソクが動き回る音が聞こえて

 そんな些細な事で、頬が緩んだ






 いつもは、私の生活音しかないから

 この家で何か他の音が聞こえるなんて

 幸せな音色でしかない
あなた
はぁ〜…幸せ…//


 ぽすん…と、枕に頭を落として

 瞼を下ろして、

 聞こえてくる音に意識を集中させていると

 軽快な足音が近付いてきて
 
 扉が開いた




 
ホソク
ホソク
ごめん、お待たせ
あなた
っ…、


 バスローブに身を包み

 ベッドに倒れ込んできたホソクからは

 さっきまでとは違って

 私と同じ香りが漂う

ホソク
ホソク
はぁ〜…落ち着く


 私を抱きしめて囁かれた言葉は、

 心の中で思っていた想いと同じだった




 同じ香りを纏っているだけで、

 こんなにも幸せな気分になって、

 心が穏やかになれる






 きっと、こんな事がなければ

 知ることも出来なかった、ちいさな幸せのひとつ

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