あれから、三年が経った。
撮影の合間に、俺はふと空を見上げた。
春の風がやさしく吹き、桜の花びらがひらひらと舞っている。
手元には、小さな写真立て。
そこには、笑顔のあなたの下の名前の写真と、手書きのメッセージ。
『亮平くんの未来が、ちゃんと輝きますように。』
俺は微笑んで、そっと桜の木の下に置いた。
風に揺れる花びらが、まるであなたの下の名前の笑顔のように見えた。
涙が頬を伝う。
でも、今は悲しい涙じゃない。
あなたの下の名前と過ごした時間、もらった優しさ、そして残してくれた手紙――
すべてが、今の自分を支えてくれていることを感じたから。
周りのスタッフや共演者が笑う声が聞こえる。
俺は深く息を吸って、前を向いた。
――もう一度、笑顔で歩いていこう。
――あなたの下の名前と約束した、この春の下で。
桜の花びらがひらりと肩に落ちる。
その瞬間、彼女がそっと微笑んでいるような気がした。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。