第115話

102 knocks
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2026/02/25 00:00 更新



「久しぶり〜」



「おー。」



夏休みが明けた



学内にはまた賑やかな活気が戻り、
誰もが長い休みの出来事を競うように話している



そんな喧騒とは裏腹に、
僕の心は暗いままだった



「……。」



携帯の端で揺れる、コニによく似たキーホルダーを指でつつきながら、
鳴るはずのないスマホ画面をじっと見つめる



「……はぁ。会いたいよ。」



「(重症だな。)
そんなに落ち込むなよ。平気だって連絡来たじゃん。」



「そうだけどさ……。」



何週間も前に届いた、



“もう大丈夫。夏休み明けに学校で。”



たったそれだけのメッセージ



それ以来、連絡はないまま夏休みが終わった



早くあなたに会いたくて、朝早くいつもの準備室へ行ってみたけど、そこにあなたの姿はなかった



「僕、法学部に入ればよかった……。」



「おー、今から編入するかー。」



まるで本気にしていない調子で、テサンが適当にそう返す。



あの後ヒョンからももう無事であることは聞いたけど、それ以上は何も聞かなかった



あなたと直接話したいのに、あなたの話をヒョンから教えてもらうのはなぜだか心をキリキリと削ぎ落とされる気がしたから



まだ夏の気配を残したままの日差しに目を細めながらぼんやりと外を眺めた



授業はすでに始まっていて、周りの音は静かいなって教授の声がスピーカー越しに淡々と情報を流し込んでくる



それでも僕の気持ちは全くもってここにはなくて



ホテルの部屋を飛び出したあの時、もうあの部屋に、あの日あなたに投げつけたまま



ただ置き去りにしてきてしまったような気がする



目を瞑るとすぐに鼓膜をくすぐるようなあなたの澄んだ声が思い出せるのにいつだってその思い出はあの日最後に見たあなたの泣きそうな顔が浮かんで最悪の気分で幕を閉じる


このまま会えないんじゃ



そんな不安が、落ちる砂時計のように降り積もっていく



もし、もし、あなたに会えたら



その時は…



ガタッ



「そこの君。お手洗いならもっと静かに行きなさい。」



教授の声なんて、耳に入らない



視界の先に見つけた見覚えのある後ろ姿に体がすぐに反応して僕を走らせた



















「あー……中学生かよ。」

そう言いながら嬉しそうに笑っていたイハンの横顔を思い出して、こちらまで笑ってしまった



「はぁ……すみません。
ちょっと腹痛いんで、俺も出ます。」



そう言ってイハンの荷物も掴むと、講義室を出た

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