扉の前で一旦深呼吸をする。
うるさい心臓を押さえつけ、ドアを思いっきりノックした。
コンコンコンッ
ドアを開けると、部屋には僕以外の生徒会メンバーが揃っていた。
まぁ…少しばかり遅刻するとは言ったけど。
でも、それより……
みんなが僕のことを見てくれている。
その事実がとても嬉しい。
やっぱ嬉しい…。
しょうちゃんは隣にあるパイプ椅子をばじばしと叩き、そこに座るよう促してきた。
しょうちゃんと隣だけど、あにきとも隣。
しょうちゃんに促されるままパイプ椅子に腰を下ろした。持ってきた通学カバンは脇に置く。
え待って、何この空気。なんでみんな黙ってるの?
笑みをこぼしながら、タイミングよくあにきが声を上げた。
りうちゃんの言葉に、ないちゃんをはじめみんな首を縦に振る。
これに関しては僕も同意。まぁ…どちらにせよ僕は帰っても何もないからいいんだけど。
まっすぐと鋭い瞳をみんなに向けるあにき。
思わず自分に向けられてないにしろ体が縮こまる。
りうちゃんが首を傾げるのと同タイミングで、あにきは席を立ち、僕の座っている椅子の後ろに立った。
そのまま僕の両肩に手を置かれる。
あにきの長い髪の毛が頬を撫で、少しくすぐったい。
あにきから少し甘酸っぱいような匂いがした。
一拍置き、あにきがさらに口を開く。
椅子が大きくガタッと音を鳴らす。
首に手を回され、あにきの顔がすぐ近くにあった。
あにきが全てを言い終わり、辺りを見回す。
どうしよう。何て答えれば………ッ、!?
満面の笑みを僕に向け、同情を誘うように首を傾げてきた。
もう、どうにでもなれ。
そう思い服の裾を強く握り、体を強張らせたけど、返ってきた言葉は想定外のものだった。
いふくんが澄まし顔で、僕の名前を呼びかける。
鋭い瞳に向き合い、力強く頷いた。
それを見たいふくんは、顔を綻ばせ、僕の頭に手を伸ばす。
開き直ったように、ないちゃんが僕に真っ直ぐ指をさしてきた。まるでビシッと効果音が鳴るような…()
ばっさりと言い切られ、あにきの心構えが伺えた。
みんなが帰った後、生徒会室に残っていたあにきに名前を呼ばれる。
なんかしちゃった?なんて思いながら首を傾げると、すぐ目の前にあにきの顔があった。
首をこてん、と傾けてふにゃけたような笑みを僕に浮かべる。
傾けた衝撃で髪の毛が揺れ、思わず見惚れてしまう。
みんなは、僕の頭を撫でるのが好きなのかな。
僕が頷くと、あにきは満足した顔で僕の頭を髪がぐっしゃになるほどに撫でる。
髪ぐっしゃのまま帰れるかっての!!
僕の気持ちを他所に自分でもどう言う仕組みで動いてるか分からないアホ毛を掴まれる。
てかこれなんの話なの!?飛躍しすぎじゃない!?
急に目を細め、安心した顔を浮かべる。
完全に眼中にないもんだと思ってた……。
そう言うと、あにきは目を丸くして少し驚いたような顔をした。
目を泳がせ、おぼつかないような態度に、笑いそうになりながらも仕返し要因として僕も顔をずいっと近づけた。
近づけていた顔を手で退けられる。
めっちゃ照れるじゃんなんて思ってたら、あにきは床に置いていた僕のカバンを手に取り目の前に差し出す。
あにきのもう片方の手にはあにきのカバンがあった。
僕のカバンをそっと受け取ると、あにきは先導でもするかのように生徒会室のドアを開ける。
とんでもない不意打ちはいつまで経っても続いた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。