撮影後の控え室。
いつもよりも少しだけ沈黙が多かったあなたの表情が気にかかって、
JINはずっと胸の奥がざわついていた。
──原因は、分かってる。スアだ。
ここ数日、スアはあからさまにあなたを牽制するような態度を取り続けていた。
それを見て見ぬふりは、もうできなかった。
「スア、ちょっと話そうか」
呼び出したのは、共演者用の控えスペース。誰もいない、静かな空間。
「……はい、何でしょう?」
スアは小首を傾げながら、無邪気な笑みを浮かべている。
「SNS、俺は見てる。コメント欄も、タグも。
君が投稿した内容が、誰を傷つけてるのか──分かってるよな?」
スアの表情が一瞬で硬くなる。
「……傷つける?何のことですか?
わたし、事実しか書いてませんけど?」
「だったら、“事実”としてはっきり言っておく」
JINは一歩、彼女に近づいて真っ直ぐに目を見つめた。
「俺が気になってるのは、あなたさんだ。君じゃない。
その気がないのに、曖昧な態度を取るつもりはない」
スアの顔から、徐々に笑みが消えていく。
だけど──それでも彼女は引き下がらなかった。
⸻
その数時間後。
VとJUNGKOOKが控室に戻ると、そこには涙ぐんだスアが座っていた。
「……どうしたの?」とJUNGKOOKが心配そうに声をかけると、
スアは震える声で言った。
「先輩に……あなたさんに、キツいこと言われました……。
“あなたのせいでJINさんが困ってる”とか……すごく怖くて……」
VとJUNGKOOKは顔を見合わせる。
(……おかしい。ヌナがそんな言い方するわけない)
(あの人がどれだけ周囲に気を使ってるか、俺たちは知ってる)
Vが小さく息を吐いて立ち上がると、
JUNGKOOKが彼に目配せした。
「じゃあ、俺たちからも“事実”を伝えようか」
⸻
数時間後、SNSにて──
VのInstagramストーリーには、あなたとの控室ショットと共に
こんな言葉が添えられていた。
「嘘はいつかバレるけど、
誠実さは、ちゃんと見てる人に届くから大丈夫。」
同じタイミングでJUNGKOOKもX(旧Twitter)を更新。
「本当に優しい人って、言い返せない人なんだよね。
でも僕たちはちゃんと知ってるし、信じてる。」
投稿のリプ欄には「誰のことか分かる」「あなたさんのことだよね」と、
あなたを守ろうとするファンのコメントが溢れていく。
数分後、#AlwaysWithHer #WeTrustHer というハッシュタグが自然発生し、
あなたのフォロー数が一気に増えはじめる。
控室でその様子を見たあなたは、ただ呆然と画面を見つめていた。
その横で、JINがそっとあなたの手に触れた。
「ほら、ちゃんと見てくれてる人はいる」
「……うん」
「だから、もう一人で耐えなくていい」
彼の言葉に、あなたはようやく、少しだけ笑顔を取り戻した。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!