店員1・2「ありがとうございました~!!」
買い物を終え店を出ると、街はまだ賑わいを見せているが太陽はもう眠りかかっている。
急ぎ足でアンナの店に帰る。
…帰り道はショッピくんが覚えていてくれた。
ガチャ
アンナ「おか~えり~…って随分買ったねぇ」
『ただいま。えぇ、ちょっとはしゃぎすぎたわ』
syp「ただいまです。」
店に着くと、アンナは既に夕食を準備し終えて待っていてくれていた。
アンナ「W国のこと、食べながら話すね」
syp「……………。」
ショッピくんの顔つきが変わる。
初めて会った時のような、軍人の目つき、表情に。
大量の荷物を部屋に置き、1階へ戻るとアンナが店の奥の扉から手招きしていた。
そこからキッチンを抜けた先はリビングのようになっていて、机には美味しそうな料理が並べられている。
私の隣にショッピくん。前にはアンナというような形で席に着く。
すぐにアンナが口を開いた。
アンナ「W国は今もa国と戦争中ね。
戦況はW国の優勢でもうじき決着が着きそうよ。
……そうねぇ~あと、3ヶ月いらないって感じ?」
syp「そうですか、良かった…。あの、犠牲者とかって分かります?」
アンナ「犠牲者っていうとW国の幹部さんたちかな?犠牲者は、大丈夫。いないみたい。
1人ちょっと戦闘不能の子がいるみたいだけどもう治療中ね~。
それと、行方不明者が1人。誰かは分かるわね?ショッピさん。」
syp「………はい。」
アンナ「気がはやるのは分かるけど今は帰らない方がいいわ~。…身分のことを思うと尚更ね。
あなたも今は私のとこ以外の街には近づいちゃダメ。わかった~?」
『…?わかった。行かないわ。』
アンナ「戦況は私があなたの家に手紙を飛ばすから、落ち着いたのが分かってからお帰り?」
syp「…そうします。お願いします。」
ひとまず、ショッピくんの帰るW国とそこのお偉いさんは無事なようだ。
良かった…。
それに……彼がすぐにいなくなってしまうこともないようだ。
あなた(……良かった。)
アンナ「ショッピさんの国の人たちはずいぶんと戦争が上手だから、大丈夫よ~。もう、2人してそんなに暗い顔しないでぇ?」
『ショッピくんの仲間ってコネシマさんとかいう人のこと?』
syp「そうっすよ。あの人は大丈夫やろなぁ…アホだけど強いし。」
『他にもいるの?仲間。』
syp「いすぎなくらいいますよ、例えばーーーーーーー。」
その日、食べてる間にショッピくんは自分の仲間のことを話してくれた。
指示が的確で頼りになるグルッペンさん。
頭のキレるオスマンさんや
とんでもない仕事の量でも捌ききってしまうトントンさん。
ショッピくんは彼らを尊敬してるという話。
あとは、ショッピくんを軍に誘ったのはコネシマさんだったとか。
同時期に入軍したチーノさんが先輩にイタズラしたとか。
鬱先生というショッピくんとチーノさんの面倒を見てくれる先輩がいるとか。
ゾムさん、ロボロさん、エーミールさんがよく食べるとか。
シャオロンさんがお酒に弱いとか。
前に話した馬を育てているのはひとらんらんさんだとか。
あまり会えない兄さんという方の話や、しんぺいさんがロボロさんのことを追いかけ回したとか…、
どの話も面白くて笑ってしまうものばかり。
話すショッピくんもどこか楽しそうで、彼らのことを大切に思ってるのが分かる。
彼が自分のことを話してくれた、彼のことを知れた、そんなことが嬉しくて私も笑った。
ショッピくんの仲間の話で夜が更けていった。
夕食を食べ終え、自分たちの部屋に帰ってきた。
買い物袋から最後に買った猫の白パーカーを出して合わせてみると、かなり大きくてワンピースのようだ。
それにショッピくんのものより生地が薄い。
『部屋着にしようと思ったのだけど、夜は冷えるし…』
どうしようかな…と呟いていると
syp「なら、俺のジャージの上貸しますよ。俺はパーカー着るんでジャージは下だけあればええし。」
『えぇ、それはありがたいのだけどサイズが合わないと思う。』
syp「体冷やすよりマシでしょ、はい、これ。」
そう言って半ば強引に紫のジャージを手渡してくるので、それを素直を受け取る。
『私、アンナのところでお風呂入るから、ショッピくんはここの部屋のを使って構わないわ』
syp「わかりました」
『じゃあ、いってきます』
syp「はい、いってらっしゃい」
お風呂から上がってパーカーを着てみる。
ワンピースのようになってはいるが、これはこれでいいのでは?と思う。
………一方、ショッピくんから借りたジャージはいくらなんでも大きすぎる。
180程の身長のショッピくんですら少し大きめなのだから私に合わなくて当然だ。
肩幅も合わなければ、袖からは指すら出てこない。もちろん丈も合わないし、パーカーよりも長い。
やっぱり脱ごうかとも考えたが、夜は冷える。湯冷めもしたくないので大人しく着て部屋への道を戻った。
『ただいま。』
syp「おかえり、!…………
……。。。」
ショッピくんもすでにお風呂から上がっていて、ソファーでくつろいでいたようだ。
彼の、少し癖のある茶髪が水に濡れてストレートになっている。
部屋に入ってきた私を見るなり、目を見開いている。
このサイズ差はショッピくんも驚くわよね…
『あぁ…これ、予想以上に大きくてね……』
腕を広げて袖が足りないというのを見せる。
ぶっかぶかだ。
syp「なんか、けっこうクるな…これ」
(あなたさん、ほんとに20歳よな……、?)
『ク……?ごめん、なんて?』
syp「や、なんもないっす。」
『そう?』
まぁ、彼にも色々あるのだろうから気にしないことにする。
~♪~♪♪
部屋で音楽がなっていることに気づく。
彼がかけたのだろうか。落ち着く曲だ。
『音楽流してるの?いいね、落ち着く。』
彼の隣に腰掛けながら話しかける。
あ、このソファ気持ちいい。
syp「歌詞ないやつですけど…いいですよね。」
『うん……』
風呂上がりで体が温かいのと、落ち着く音楽とで少し眠気が顔を出し、あくびが出る。
syp「眠い?」
『少しね……でもまだ大丈夫。少し話す?』
syp「いいっすね。俺まだ眠くないんでちょっと付き合ってください。」
ーーー。
『…私、自分があんなに歩くのが下手だなんて思わなかったわ。』
syp「…正直俺もびっくりしましたよ」
『けっこうショックだった…』
syp「服屋の店員の押しにも全然負けてましたしね。ちょっと挙動おかしくて笑いました」
そう言って思い出し笑いするショッピくん。
『ショッピくんだってジャグリングの時、びっくりしてぽけーーっとしてて、おかしかったわよ?笑』
syp「いや、あれは……」
(あなたさんのこと見てたとは言えへんな…)
『あぁ、あと飴細工の鳥を頭からいくのは良くないわ』
syp「頭だけ残す方がエグない?」
『…言われてみれば。』
何となく顔を上げるとショッピくんと目が合って笑いあう。
15分ほど話していただろうか。
なんだか幸せな気分になって、うとうとしてしまう。
syp「……ちょっと待っとってくださいね」
と言い、ベッドから布団を1枚持ってきて…
私のすぐ近くに座り、自分と私の肩までバサッとかけてくれた。
2人で1枚の布団に包まれるため、ショッピくんとほぼ体がくっついた状態になる。
暖かくて眠気と体温がぐっと高まった。
そのせいかすこしぼーっとする。
『なんかさ…』
syp「…ん?」
『…私、今日普通の人間みたいだったなぁ』
目が閉じかける。
syp「……普通の女の子でしたよ。」
ショッピくんが何か言った後に
私の手を街にいた時みたいに絡めとった。
2人の体温がじんわりと混じって、少し冷えかかっていた指先が再び温まる。
ぎゅっと握られたので軽く握り返す。
優しく流れる音楽とショッピ君の体温が心地よすぎて、もう眠気は限界まで来ていた。
彼の方に少し身を寄せて、
彼の肩に頭を預けた。
そのまま瞼を閉じる。
syp「明日もまた行きましょうよ、中心街。」
「もっと色んなことしましょう。」
ショッピくんの声が、ほどよく低く頭で響く。
新しい服特有の匂いと少し甘いような苦いようなショッピくんの匂いが鼻をかすめる。
『ぅん……』
朦朧とする意識の中、何とか返事をした。
ショッピくんの方に乗せた私の頭の上に
さらに何かがずしりと乗った。
…おそらくショッピくんの頭だろう。
その思考を最後に私は意識を手放した。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。