その後の食事の会話は一切耳に入ってこなかった
かっちゃんの様子はというといつも通りご飯を平らげた後、すぐに部屋に戻っていった
親2人は全く気付く様子がない
普段通りなのが余計に混乱する...
部活を完全に引退したかっちゃんはパーティーの次の日から毎日家に来るようになった
私は四六時中あのことで頭がいっぱいなのにかっちゃんは家がうるさいと言って堂々と居座っている
うるさいなんて言っているけれど、私に対してあれしろこれしろって世話焼きなところはかっちゃんのお母さんそっくりだと思う
そう、私は未熟者だから。
「あなたは雄英行くんだろ」
「えっ」
2人でお昼ご飯を準備しているとかっちゃんが突然話しだした
そういえばかっちゃんと高校の話してなかった...
「...今はまだ悩んでる。雄英での学校生活は気になるけど偏差値が高い高校なら公立にもあるし、わざわざ雄英に行く必要自分にあるかなって
かっちゃんみたいに運動が優れているから強豪校の雄英に行くとか、将来の夢があってそのための最善の選択ならいいと思うんだけど、自分みたいに何になろうか考えていない人がとりあえず行く高校ではない気がする...」
チャーハンを作り終えたかっちゃんは今度、私からスポンジを奪って残りのキッチン用具を洗い
始めた
手持ち無沙汰になった私はかっちゃんが洗ったものを水で流す
「目的ならあるだろ」
「え、なに?」
「俺のそばにいるため」
そう言って、からかうように私を見つめてくる
正直、安心してしまった。
これもきっとかっちゃんには見透かされている
意地悪そうに、にやけるかっちゃんをお尻でどかし、スポンジを奪いとった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!