第15話

拾い人
2,649
2020/03/15 00:38
り「あなた、眠い〜」

「莉犬くんがんばって。ね?」

り「あーい・・・」

ひたすらに眠そうな莉犬くん。さとみくんとなーくんは後ろでなにか喋ってる。
突然、莉犬くんがはっと体を起こした。

り「ね、あなた、あれ・・・」

「え?」

莉犬くんの指さす先。

さ「なんかあなたに似てんな」

な「あなたちゃんが小さくなったらあんな感じなのかもね」

私に似ている、10歳ぐらいの女の子。

あれは・・・!

だっと駆け出した私を、莉犬くんが追いかけてくる。

女の子がこっちを見た。不思議そうな顔をしていたが、だんだん驚きの表情に変わる。
女の子の前まで来て、私は息をついた。
後ろで莉犬くんばバテている。
女の子が呟いた。

女の子「・・・お姉、ちゃ、ん?」

さとみくんとなーくんも追いついてきて、どうした?と問いかけてくる。
それに答えるだけの余裕は今、なかった。

ぎゅ・・・と女の子を抱きしめる私。
後ろで驚いているのがわかった。
思わず声が漏れる。

「良かった・・・!ほんとに・・・琴音、ごめんねぇ・・・」



数分後。

さ「えっと、あの、あなた?」

さとみくんの声で、我に返った。

「あ、ごめんねっ」

慌てて離れる。

な「どうしたの、突然駆け出して。」

不思議そうな3人を前に、私は苦笑いで言った。

「ごめんね・・・この子、私の妹。」


???と頭の上にはてなマークが浮かんでいるのが見える。

やがて、事態を理解した莉犬くんが叫んだ。

り「((((;゚Д゚)))))))エエエエ」

「なーくん、説明するから、この子、シェアハウスに連れ帰ってもいい?」

な「え、あ、うん、いいよ」

「ありがとー!」

この会話をしている間に、莉犬くんは妹・・・琴音にはなしかけている。

り「あなたの妹ちゃん、名前はっ?」

琴「え、あの、私、琴音です・・・」

さ「やっぱり可愛いね。さっすがーあなたの妹。」

琴「ありがとうございます・・・?」

り「かわいい!ねぇさとみくんめっちゃ可愛くないっ?」

そりゃ可愛いよ、私の妹だもの。

「ほら、帰るよ。後で説明するから。」

莉犬くんを引っ張って、私は帰り始めた。

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