り「あなた、眠い〜」
「莉犬くんがんばって。ね?」
り「あーい・・・」
ひたすらに眠そうな莉犬くん。さとみくんとなーくんは後ろでなにか喋ってる。
突然、莉犬くんがはっと体を起こした。
り「ね、あなた、あれ・・・」
「え?」
莉犬くんの指さす先。
さ「なんかあなたに似てんな」
な「あなたちゃんが小さくなったらあんな感じなのかもね」
私に似ている、10歳ぐらいの女の子。
あれは・・・!
だっと駆け出した私を、莉犬くんが追いかけてくる。
女の子がこっちを見た。不思議そうな顔をしていたが、だんだん驚きの表情に変わる。
女の子の前まで来て、私は息をついた。
後ろで莉犬くんばバテている。
女の子が呟いた。
女の子「・・・お姉、ちゃ、ん?」
さとみくんとなーくんも追いついてきて、どうした?と問いかけてくる。
それに答えるだけの余裕は今、なかった。
ぎゅ・・・と女の子を抱きしめる私。
後ろで驚いているのがわかった。
思わず声が漏れる。
「良かった・・・!ほんとに・・・琴音、ごめんねぇ・・・」
数分後。
さ「えっと、あの、あなた?」
さとみくんの声で、我に返った。
「あ、ごめんねっ」
慌てて離れる。
な「どうしたの、突然駆け出して。」
不思議そうな3人を前に、私は苦笑いで言った。
「ごめんね・・・この子、私の妹。」
???と頭の上にはてなマークが浮かんでいるのが見える。
やがて、事態を理解した莉犬くんが叫んだ。
り「((((;゚Д゚)))))))エエエエ」
「なーくん、説明するから、この子、シェアハウスに連れ帰ってもいい?」
な「え、あ、うん、いいよ」
「ありがとー!」
この会話をしている間に、莉犬くんは妹・・・琴音にはなしかけている。
り「あなたの妹ちゃん、名前はっ?」
琴「え、あの、私、琴音です・・・」
さ「やっぱり可愛いね。さっすがーあなたの妹。」
琴「ありがとうございます・・・?」
り「かわいい!ねぇさとみくんめっちゃ可愛くないっ?」
そりゃ可愛いよ、私の妹だもの。
「ほら、帰るよ。後で説明するから。」
莉犬くんを引っ張って、私は帰り始めた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。