王様のところへ向かう途中
方向音痴ないろはでさえ、
ある疑問を持った
森を歩いているうちに
段ボールや木の板でできた
小さな家のようなところへやって来た
そう、ここは
白上フブキや大神ミオ達と
ゲームをしたり、話し合ったりした場所
あの隠れ家だ
吊るされている梯子を登り
のれん代わりに使われたカーテンをくぐり
中へ進んでいく
何かが足に当たる…
それを拾い上げて気づいた
みんなで遊んだゲームソフトが
たくさん落ちていた
どれも、見覚えのある
思い出だらけのものばかり
思い出に浸り
二度と会えない仲間達のことを思いだし
少し、悲しくなっていた時、
誰かの視線がこちらを向いていることに気づいた
見覚えのある
しっぽと耳が目に入る
ケモノビトの寿命は
1000年以上なのだ
だから、あの時出会った彼女も
500年経った今でも生きていることは
おかしくはなかった
あの時、
せめて浅く切れば、
だれか仲間が来てくれれば助かるだろう
と考えた、だが結局
最悪な結果になってしまった
そして、王国へと足を運んだ
向かっている途中、あることについて話した
城の付近まで来て気がついた
やけに静かだ、
王都ならではの賑わいがない…
兵士や街の民は、
王国の付近で、野宿をしている…
お城の外の門にも
中にも…どこにも兵士の姿がない
やけに静かで不気味な感じだった
ガチャッ
勢いよく扉を開ける
この先にいるのは…
かつての友だ…
ころねと目があった瞬間
ふぶさんを見ていた目とは
全くかけ離れた視線を向けられた
明らかに殺気じみた顔だ
そう唱えた後、
ころねは再び玉座に座った
痛い
息をする度に全身に激痛が…
なんだこれ、いきなり現れて…
針…?…ふぶさんが言ってたのはこれか…
針って太さじゃないぞこれ…
しかも…この針重い…!!
これじゃあまともに動けないし…
よし…、抜くか…?
ブシャッ
嫌な音が耳に届く
そして、再び激痛が体をおそう
声を出したことにより、
再び針が刺さる
それでも、なお声を出すことを止めない
グシャッ
勢いよく体に刺さった針を抜き
斧を握り、ころねとの距離を一気につめた
体に針が刺さっているのにも関わらず
体を動かし、ころねに近づく
ころねが拳を握りおもいっきり
こちらに向かって腕を振るう
それを間一髪で避けた
が…
さらに、針が突き刺さる
身体中に穴が空いてる…
息が上手くできない…
体に力が入らない…
ころねがゆっくり
倒れているすいせいに近づき
手をすいせいの頭にのせる
強制的に、
ころねに触れている状態にされ
身体にいくつもの針が刺さり続けた
針が刺さるごとに、
身体から力が抜け
意識が遠のいていった
深く呼吸をし、
握っている刀の刃先をころねに向ける
フブキの髪が徐々に黒色に変わってゆく
そして、深い瞬きをしたその眼は
鋭くかつての友を睨んでいた
近距離戦になれば、フブキの方が
一枚上手だ
しかも、
ころねの、指切りげんまんは
一人にしか使えない
つまり、この勝負はほぼフブキ勝つ可能性が高い
そして、ころねが勝つには、
指切りげんまんをフブキに使わなければならない
ならば、死にかけのすいせいを
放ってフブキに使うべき…
背後から現れたすいせいに
気を取られ、フブキに背中を斬られてしまう
すかさず、すいせいが追い討ちをかけ、
ころねの横腹を深く斬りつけた
大量に出血しているにもかかわらず
ころねはまだ、身体を引きずりながら
もがいている
目が覚めたところは
知らない場所
たけど、とても温かい
誰もが
ころねのようになる可能性があった
白上だって、
ミオに真実を教えてもらえていなかったら
間違いなくすいちゃんを恨み
殺そうとまでしたかもしれない
そうなってしまったのが
たまたま、ころねだっただけだ
しかもその結果、ころねは一人になり
孤独な道を進んでいた
ならば、
せめて最後は幸せであってほしい
それが、幻だとしても…
安心してくれ、ころね
昔、君が望んだ世界をわたしが作ろう
だから、今は
眠れ…友よ
夢のような、現実にいる気分だった
目の前にいるのは死んだはずの最愛の人
笑顔を向けたミオは
霞みの中に消えていった
端から見たら、ふぶさんは
ケモノビトの王を殺した犯罪にしか
見えないだろう
ならば、ふぶさんが王になることは難しい
だが、一つだけ
一つだけ方法がある
ドンドン
いきなり、扉を叩く音が聞こえた
兵士がころねの叫び声を聞き
慌ててやってきたのだ
すいせいが、笑みを浮かべる
彼女は笑っていたが、同時に
とてと悲しそうな顔をしている
ようにも見えた












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。