豆side
テスト後の放課後。
俺は神無月君に壱年だった頃、俺と秋雨君といつも一緒にいた
神在月カグラ君のことを問い詰めた。
どうして今まで忘れていたんだろう。
ずっと、あんなにす、_______………
……………。
ぼふっと枕に顔を押し付けてしばらく撃沈。
ごろんとまた上を向いた。
ぼんやりと天井を見つめながら考える。
ずっと一緒にいたのに、どうして思い出せなかったのか。
今彼はどこにいるのか。
なぜ消えてしまったのか。
いろんな疑問が次々に思い浮かぶ。
翌日、佐野君たちと遊んだ後、俺は神無月君の部屋の前に立っていた。
ちなみに神無月君の部屋は俺と佐野君の部屋の隣。
いつでもお泊まり(?)ができるから嬉しい。
秋雨君が来た。
ちゃんと時間通り。
秋雨君って待ち合わせとか遅刻してきそうだと思ってたけど、
大事な用事には間に合うらしい。
ピンポーンと呼び鈴を鳴らした。
神無月君は数秒後に,直接ドアから出てきた。
神無月君の部屋は一面が本だらけだった。
よくわからない妖怪の本や神話の本、
歴史、大陰陽師の昔話、
心理学の本から人体や妖怪の解剖図鑑、
文字通りの鈍器本、物語、伝記…
難しそうな本からやや趣味が偏った本、
その中に時々混じる拍子抜けするようなゆるい絵が描かれた本など
ジャンル様々。
しかし本以外の物は恐ろしいほど何もなかった。
必要最低限。神無月君らしい部屋だ。
…黙り込んだ。
何かを考えるように。
そして、神楽として生まれた時の一番最初の記憶を遡る。
「 相手が自分で思い出してもらうまでは、自分は相手に干渉してはならない」。
それが、神楽が…神楽達が生まれながらに定められたルールの一つだった。
何としてでも守らないといけないもの。
おかしいことでもない。
神楽達にとっては当たり前で、身近なことだった。
守らないといけないルールとして捉えてないほど、普通のこと。
これを守るのは難しいことではない。
昔も、今も。これからも、ずっと。
_______神楽が神楽である限り、神楽として生きている限りは絶対に。
勝手に解決。
読者からは(メタい)シリアスだったが
本人からはそうでもないらしい。
もう少しシリアスにしてくれてもいいんだぞ…。
ダァンと台パンした。
……力が弱いせいでちょっと揺れただけだが。
実際の効果音はダァンではない。もっと弱い。
遮った。
はっきりと、一言。
机に突っ伏しながらスマホを差し出した。
嫌い?な人のマネをしろなんてそりゃ嫌だわな。
そのせいか、いつもの神楽からは考えにくいほどぐずぐずしている。
ちょっと晴明に似てるかも。
きょとん、と首を傾げた。
もうちょっと何か言ってくれても良かったじゃん。
何も言わずに消えるなんて。
昨日の夜、秋雨の方もそんなことを考えていた。
消えるとか言えないほど信用されてなかったのか?
気を遣わせてしまうとでも思ったとか?
でも俺は言って欲しかった。
やっぱり誰でも好きな子には頼られ______………
思考が止まった。
今自分は何を考えたのか。
理解した瞬間、ぼふんっと音が立つくらい顔が赤くなった。
↑絶対なんかあった人のテンプレートな反応。
それからは本当にくだらない話しかしなかった。
本当はもっと神在月君のこと、
それから神無月くんのことも聞きたかったけど
来た時から薄々、あんまり根掘り葉掘り聞かれたくなさそうな
感じがしたから、それ以上は何も聞かなかった。
秋雨君もそれを感じ取ったのか、
秋雨君の方も何も聞こうとはしなかった。
でも俺的には十分だったから
一気に知らずに少しずつ知っていけばいい。
夢か幻かと思ってしまうほどあまりにあっけなく、
最初から存在しなかったかのように消えてしまった彼が
ちゃんと実在したと確信できた。
今日は満足だよ。
神無月君は一瞬驚いた顔をした後、
へにゃっと嬉しそうに笑った。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。