第16話

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2026/05/28 08:00 更新
次の日の朝


「……ねむ……」


風磨は布団にくるまったまま、ベッドの端で丸くなっていた

昨夜ちゃんと仲直りしたとはいえ、
朝は普通に機嫌が悪い

健人が病室へ入ってくる

「おはよ」

「……おはよーございまーす」

棒読み

「まだ怒ってる?」

「別に」

健人が吹き出す

「それ昨日も聞いた」

風磨は布団をさらに引っ張った




朝食後


今日は久しぶりに検査もリハビリも少なく、
比較的ゆるい日だった

風磨は病室のソファにだらっと座りながら、
テレビをぼーっと見ている


「暇なら課題やれば?」


健人がカルテを書きながら言う

「それは違う」

「なにが」

「暇つぶしにも限度がある」

意味不明な理論

でも今日は昨日より少し元気そうだった

昼前


看護師さんが薬を持ってくる

「風磨くーん、お薬ね」

「…多くね?」

毎回同じ反応

テーブルに並べられた薬を見て、
露骨に嫌そうな顔をする

「これ減らないの?

「これでも減った方です」

健人が横から言う

「昔もっとあったし」

「思い出させないで」

風磨は小さくため息をついて、しぶしぶ飲み込んだ

薬を飲み終わると、そのままソファに沈む

「えらいえらい」

「子供扱い禁止」

即返す

看護師さんが笑って病室を出ていった
午後


外は雨だった

窓に雨粒が当たる音だけが静かに響く

風磨は窓際に座ってぼんやり外を見ていた

「雨の日って病院感増す」

「なにそれ」

健人が笑う

「なんか静かすぎて暇」

「学校は?」

「今ごろ五限かな」

ぽつり。

その言い方が少し寂しそうで、健人は小さく目を細めた

風磨は学校の話をする時、

だいたい“別に行きたくない”みたいな顔をする

でも本当は、ちゃんと気にしてる

「来週くらい、少し登校できるかもね」

健人が何気なく言う。

風磨がぱっと振り向いた

「……ほんと?」

「状態安定してれば」

その瞬間だけ、顔が分かりやすく明るくなる

でもすぐ平静を装う

「……まぁ、別に行けなくてもいいけど」

「顔に出てる」

「うるさい」

健人が笑う



夕方


風磨は珍しく自分から勉強道具を開いていた

シャーペンを持ちながら、問題集を睨んでいる

「偉」

健人が言う

「文化祭の分遅れてるし」

「真面目じゃん」

「今さら?」

でも数分後

「……無理」

ぱたん、と問題集を閉じる

「数学嫌い」

「早かったね」

風磨は机に突っ伏した

「学校行きたいけど勉強はしたくない」

「高校生らしい悩み」

その言葉に、風磨は少しだけ笑う

病院の中なのに、

こういうどうでもいい会話をしてる時だけは、

少し普通の高校生になれた気がした


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