第7話

第5話 嫌われ者
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2025/12/13 22:31 更新



『嫌だ!やめてやめて!』
『なんか嬉しいなぁ〜!』
『あんたのせいで!!とっとといなくなれ!』
『ひどいよなんでこんなこと…』


私はバケモノだ。
知ってる。知ってる。



九重 エミリ
九重 エミリ
(はやく……行かなきゃ……)
九重 エミリ
九重 エミリ
(進まなきゃ……)



よく覚えてる。
あの悪夢の日のこと、私がバケモノになった日のこと。


私は超能力を発現させた。
その瞬間、私はバケモノになった。
周りの人が全員、情緒不安定になった。
悲しんだと思ったらすぐに笑って、
笑ってたと思ったら怒って、
怒ったと思ったらすぐ泣いた。
お母さんもお父さんも、
その場にいた友達も、
みんなみんなおかしくなった。
 
私は周りに助けを求めようとした。
全部全部怖く見えて、恐ろしく見えた。
でも、外に出ると外にいた普通の人もおかしくなった。
村は地獄絵図になった。
泣いて、喚いて、笑って、怒って、怖がって。
中には包丁で他の人を刺す人までいた。
泣きながら殴り、殴られた人は笑っていた。
普段温厚な人も、表情を変えない人も、
みんなみんな変わっちゃった。



私は隠れて、その日を過ごした。
ある程度、落ち着いたと思ったら
みんなは私を閉じ込めた。
この子の周りに行くとおかしくなる。
この子は【バケモノ】だと。


ずっと1人ぼっちだった。
でも、仕方ない。だって私は
【バケモノ】
なんだから。



九重 エミリ
九重 エミリ
ごめん…なさい。
九重 エミリ
九重 エミリ
私のせいで……
九重 エミリ
九重 エミリ
私が【バケモノ】だから……


九重 エミリ
九重 エミリ
ごめんなさい……ごめんなさい……ごめ…

楓河 マキ
楓河 マキ
バケモノじゃない。


急に誰かの声がした。
横を見るとマキさんがいた。

楓河 マキ
楓河 マキ
誰かを笑顔にできる…そんな能力じゃん。
楓河 マキ
楓河 マキ
バケモノなんかじゃない。


九重 エミリ
九重 エミリ
マキさん…ひっぐっ

楓河 マキ
楓河 マキ
……落ち着いた?

九重 エミリ
九重 エミリ
はい…ありがとうございます。



楓河 マキ
楓河 マキ
そう……はやく行こう。

そう。この子はバケモノじゃない。
バケモノは……私だ。



鏡がグニャリと映っているものが変わった。
映ったのは…かつての彼氏だった。


『ごめん。別れよ。』
『俺、お前の姉ちゃん好きになった。』



あの時の苦しみがまたぶり返す。



楓河 マキ
楓河 マキ
あぁぁ……
  

そうだ、私はバケモノだ。
私の能力は他の人と精神を共有すること。
私の精神が終わってるから、
私に直で触れると相手も心が病んじゃう。
傷も体のいたるところにできる。





九重 エミリ
九重 エミリ
マキさん!
エミリが私に触れようとしてきた。
私は全力で否定する。


楓河 マキ
楓河 マキ
触らないで!!
肺炎になっても知らないよ!?

九重 エミリ
九重 エミリ
いいんです!
マキさんが私を救ってくれたように、
私もマキさんを救わせてください!

九重 エミリ
九重 エミリ
『超能力 感情操作』



エミリは私に触れた。
ほんのちょっと心が軽くなった。
まだ、苦しいのは変わらないけど。


楓河 マキ
楓河 マキ
エミリ…………


九重 エミリ
九重 エミリ
ほら……!
ほんのちょっと……!
九重 エミリ
九重 エミリ
心が落ち着いたでしょう…?
 

楓河 マキ
楓河 マキ
……!!!




九重 エミリ
九重 エミリ
無理しないでください!
九重 エミリ
九重 エミリ
私にだって、一緒に背負わせてよ…!
 
九重 エミリ
九重 エミリ
独りぼっちは寂しいでしょう……!?



楓河 マキ
楓河 マキ
エミリ……!






 
『忌々しい。双子だなんてねぇ。』
『しかも、千里眼をもってるんだとか。』
『まるで物の怪じゃないか!』




黙れよ……そんなの分かってるよ。


笹木 コウ
笹木 コウ
ココ……行こう。
 
1日も年差がない妹に僕はいった。
無理して笑顔をつくった。
あの時と同じように。


僕たちは双子だ。
双子は僕らが生まれた村では
不吉とされていた。
それで変な能力持ってるときたもんだ。
そりゃあ忌み嫌われるだろう。
僕は兄だから。
笑顔で頑張らなきゃ。
ココが少しでも笑えるように。


笹木 ココ
うるっさいな……


笹木 コウ
笹木 コウ
ココ……?



バリーンと音がした。
音と同時に目の前の鏡か割れた。
 

笹木 ココ
うるっせぇんだよお前ら!!!!



笹木 コウ
笹木 コウ
(あ、やばい……怒った。)



常音 ミラ
常音 ミラ
今の……ココちゃんの声…?



常音 ミラ
常音 ミラ
いや、ちがうでしょ。
速く進まな……



笹木 ココ
うるせぇよ!!
お前ら黙っとけよ!!!



常音 ミラ
常音 ミラ
(ココちゃ……ココちゃ…ん?)





ココちゃんが凄い怒ってた。
顔はもう……うん。見れない。
怒って、全力で鏡割ってた。



笹木 ココ
言うなよ!!わかってるもん!
笹木 ココ
自分が一番わかってる!!
わざわざ言うなよ!!!
笹木 ココ
うちは忌々しくない!!
うちは物の怪じゃない!!!
笹木 ココ
うるさい!!!
黙れ黙れ黙れ!!!!



笹木 コウ
笹木 コウ
ココ……割るのは……
笹木 ココ
うるさい!!
勝手に出口探してて!!
うちは全部壊してから行く!!!!


笹木 コウ
笹木 コウ
………行こっか。

常音 ミラ
常音 ミラ
え……大丈夫なの……?

笹木 コウ
笹木 コウ
怒ったココは誰にも止められない。
味方も、敵も………



  




常音 ミラ
常音 ミラ
そう……
常音 ミラ
常音 ミラ
ねぇ、コウくん。

笹木 コウ
笹木 コウ
ん?

常音 ミラ
常音 ミラ
元気じゃないのに元気つくろうのって
ダメかな………?

笹木 コウ
笹木 コウ
………どうにも言えないな。
僕もそう言う感じあるし。
笹木 コウ
笹木 コウ
まぁ、無理してなきゃ
いいんじゃないかな…?

笹木 コウ
笹木 コウ
ちょっと無理して笑ってても、
いつかそれが本当の笑顔になることは
あると思う。
笹木 コウ
笹木 コウ
きっと、いつか………



常音 ミラ
常音 ミラ
……うん。そうだね。




巫 サユリ
巫 サユリ
ハァハァ……
巫 サユリ
巫 サユリ
……カナト、速いね。

沙無 カナト
沙無 カナト
うん……大丈夫…?
 
巫 サユリ
巫 サユリ
大丈夫よ。それより他のみんなは……



 


常音 ミラ
常音 ミラ
ゴール!!!
笹木 コウ
笹木 コウ
なんとかなったぁ!



巫 サユリ
巫 サユリ
あれ……珍しいわね。
この組み合わせ。
巫 サユリ
巫 サユリ
ココは?

常音 ミラ
常音 ミラ
あ〜〜………
笹木 コウ
笹木 コウ
えっと………












笹木 ココ
笹木 ココ
ふ〜!スッキリしたぁー!

常音 ミラ
常音 ミラ
ココちゃん……
手……痛くない………?
 
笹木 コウ
笹木 コウ
大丈夫。コイツむっちゃ怪力だから。

笹木 ココ
笹木 ココ
全然元気〜!!



巫 サユリ
巫 サユリ
ねぇ、コウ……?
何があったの……?
 
笹木 コウ
笹木 コウ
長くなるから後でね……







カエルタマゴ
残り一分デミ!

巫 サユリ
巫 サユリ
あと2人……













楓河 マキ
楓河 マキ
ハァハァ
楓河 マキ
楓河 マキ
間に合ってる……?



マキは手袋をした状態で
エミリを背負っていた。


九重 エミリ
九重 エミリ
ごめんなさいごめんなさい!!!
九重 エミリ
九重 エミリ
私のせいで……!!
九重 エミリ
九重 エミリ
うわぁぁぁぁ!!!
 
楓河 マキ
楓河 マキ
………………




巫 サユリ
巫 サユリ
……そっちも後で話聞くわ。

笹木 コウ
笹木 コウ
僕がエミリさん運ぶ。
体力残ってるからさ。

巫 サユリ
巫 サユリ
お願い。





カエルタマゴ
メダル配るデミ!
カエルタマゴ
でもココはナーシ!!
鏡割ったお代デミ!!!

巫 サユリ
巫 サユリ
鏡!?何してんのココ!!

笹木 ココ
笹木 ココ
んあ……えっと……違…
巫 サユリ
巫 サユリ
違くない!!
それで脱落したらどうするの!?





巫 サユリ
巫 サユリ
え……あ……ごめん。
巫 サユリ
巫 サユリ
いろいろ休憩所着いてからで。






みんな
…………


巫 サユリ
巫 サユリ
ココ、本当にそれは危ない。
巫 サユリ
巫 サユリ
怒りに感情を任せすぎないで。
巫 サユリ
巫 サユリ
……気持ちは分かるけど。


笹木 ココ
笹木 ココ
……はい。



巫 サユリ
巫 サユリ
あれ?エミリとマキは?

音羽 ヒナノ
音羽 ヒナノ
2人なら外いるよ。
緩利 キラ
緩利 キラ
エミリもちょっと
落ち着いてきていましたの!
九重 ハル
九重 ハル
マキが誰かとって珍しいね。



楓河 マキ
楓河 マキ
………もう大丈夫?
 
九重 エミリ
九重 エミリ
なんとかって感じです。
九重 エミリ
九重 エミリ
ありがとうございました、いろいろ。

楓河 マキ
楓河 マキ
……ごめん
楓河 マキ
楓河 マキ
私に触ったせいで……

九重 エミリ
九重 エミリ
違います。
体の不調は起きてないので
私の能力の副反応です。

九重 エミリ
九重 エミリ
この星組が作られた理由を
知ってますか?

楓河 マキ
楓河 マキ
……知らない。
楓河 マキ
楓河 マキ
でも、能力があるだけで
集めてるんでしょう?

九重 エミリ
九重 エミリ
確かにそうです。
九重 エミリ
九重 エミリ
………能力というのは
危険なものも多いです。
調整も大変ですし。
九重 エミリ
九重 エミリ
お互いに刺激を受け合い
能力の調整に役立てるという
目的があるそうです。



九重 エミリ
九重 エミリ
練習手伝いますよ。
九重 エミリ
九重 エミリ
私も調整の練習で色んな人に
お世話になりました。
九重 エミリ
九重 エミリ
だから、私も誰かを手伝わさせてください。



楓河 マキ
楓河 マキ
……いいの?

九重 エミリ
九重 エミリ
もちろんです。


楓河 マキ
楓河 マキ
……ありがとう。



その日の夜


空雅 カイラ
空雅 カイラ
(…寝れねぇな。)
空雅 カイラ
空雅 カイラ
(外の空気吸いに行くか。)



ガチャ(外に行った)


空雅 カイラ
空雅 カイラ
……巫?

巫 サユリ
巫 サユリ
あ、カイラ。どうしたの?

空雅 カイラ
空雅 カイラ
寝れなかったから。お前は?

巫 サユリ
巫 サユリ
ま、そんな感じ。



空雅 カイラ
空雅 カイラ
……大丈夫か?

巫 サユリ
巫 サユリ
…え?何が?

空雅 カイラ
空雅 カイラ
ちっと無理してそうなというか……

巫 サユリ
巫 サユリ
え!?そんなことないよ!
大丈夫だから!


空雅 カイラ
空雅 カイラ
……そうか。
空雅 カイラ
空雅 カイラ
…お前も早めに寝ろよ。

巫 サユリ
巫 サユリ
うん。





空雅 カイラ
空雅 カイラ
(あいつの布団、少しも乱れてなかった。)
空雅 カイラ
空雅 カイラ
(ひょっとして…いや、考えすぎか。)


こんにちは!
今回うまく書けて嬉しい作者のシフォンです!
全体的に結構うまく書けました!
今回は救われ会でしたね。
ではそれぞれ救われた子にコメントしていきます。

エミリちゃん、アキちゃんは感情や精神面で近かったので
いいタッグになりそうだなと思いましたね。
アキちゃんの心の傷はなかなか言えないだろうけど、
能力の調整ができるようになって
誰かを傷つけなくて済めば
少しでも心が軽くなるかもしれませんね。
それを作者は願ってます。

エミリちゃんの事件は周りも怖いですが
1番自分が怖いですよね。
自分が近づくと誰でもみんなおかしくなっちゃって、
誰かに助けを呼ぼうとしても呼べない。
何がおこってるかわからない。
優しい人が狂って独りぼっちなんて……
それの後何も知らないのに自分のせいにされて、
でも周りの大人がみんなそう言うから
受け入れるしかなくて……
そんな子に似ている能力を持った
アキちゃんと言う友達ができたのは
すごく嬉しかったのではないでしょうか。

ミラちゃんにはほんとに感情移入できて……
私もほんのちょっと持病がありましてですね。
無理して笑うのってほんとに体力いるんですよ。
陰ですごい心下がるし。
でも、その笑顔で巡り巡って
本当に笑えることが起こるって考え方、大好きです。
でも、本当にキツかったらきついで笑顔なくてもいいんですよ。
そこはなんとかうまくコウくんが伝えられたかな〜?

ココちゃんとコウくんの闇もなかなかだと思います。
自分がすごく気にしてることを
周りから言われるってむっちゃ嫌だし精神抉られますよね。
でも、兄だから頑張ろうと思うコウくんと
お転婆すぎて笑わせちゃうココちゃんだからこそ
今までの苦難を乗り越えられたんだと思います。

こんな感じですかね。
……あれ?今の時点で3449文字?
今回すごく長かったですね。
コメントもあったから仕方ないか……

見てくださりありがとうございます!
次回もお楽しみ〜!

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