誘拐犯の第一印象は 、兄貴って 、感じだった
大きな背丈 。 低い声 。死んだ目 。
怖いはずのソイツに 、
雑に撫でられた頭の感触が忘れられない
マメのある手と絡める手は痛かったりしたけど
くしゃくしゃと撫でられるのは 、初めてで
擽ったくて 、心地が良かった
俺がアイツと会ったのは 、真冬だった
その日は下手こいて 親に家を追い出された時で
次の日まで入れないって言われた時には死を覚悟した 。
だけど 、そんな時 アイツは現れた 。
誰も彼も見て見ぬふりをする
誰一人として助けてくれない
そう 、思ってた 。
つーか 、今までそうだった 。
なのに 、なのにコイツは
俺を 、温もりで包んでくれた 。
そう言うと 少し空いてた距離を詰めてきて
ポスっと 、ロングコートの中に包まれた
暖かくて
泣きそうになって
誤魔化す為に足に抱きついて
そしたら ソイツが頭なんか撫でてくるから
また涙が溢れてきて
つい 、本音を零した
誰も俺を愛してくれない 。
耐える事しかできなかった
いつかは親が愛してくれると信じてた
でも 、きっと それが叶うことは無いんだと思う
誰も俺を見てくれないし
必要としてくれない
このまま凍死しても誰も悲しまない
もう 生きてるのがつらい
ギュッと握られた手を引かれて歩く
ソイツの何に惹かれたかは分からない
だけど 、今さっきまで赤の他人だったのに
ソイツの全てが心地よかった
アイツらからの愛はもう必要ない
これからは 、コイツに愛して貰うんだ
幸せにしてね 、あなた
その日は 、雪が降っていた 。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!