はこたろーside
じらいちゃんに返事をしながらあなたの下の名前ちゃんを抱え直す。
初めて来た場所のはずだから、緊張もあったのかもしれない。
揃って目的の家具店に向かう。
歩調がゆっくりなのは、あなたの下の名前ちゃんを抱っこしている僕を気遣ってくれているのだろう。
ありがたい。
これ以上は兄さんが暴走しそうなので、止めておこう。
とはいえ確かに教育は盲点だったかも。
これから生きていく上で、知識は絶対に必要だ。
僕は教育に力を入れることを決めた。
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あなたの下の名前ちゃん用の机や本棚などを買い、家に配達して貰う手続きを済ませて家具店から出る。
あとは服と、魔道具の契約か。
まだ寝てていいよ、と頭を撫でると、再びうとうとし始めた。
その愛らしさに、皆の顔も穏やかだ。
その時。
突然大きな爆発音が轟いた。
これには流石にさっきまで寝ぼけ眼だったあなたの下の名前ちゃんも目が覚めたようで、怯えたように辺りを見回している。
僕の言葉に、皆動き出す。
恐らく爆発の犯人と思わしき男が立っていた。
その回りには仲間だろう男たちが何人もいる。
…最悪かな。
僕は数歩後ろに下がり、代わりに兄さんとミントスさんが前に出た。
リーダー格の男の声で一斉に襲いかかってくる。
と言っても物理ではなく、異能で攻撃して来た。
でも、彼らは分かっていない。
今目の前にいる二人が、国内でも随一の実力者だって。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!