何時もニコニコ笑っていて、逆に隙がない
表情しか見てこなかった。
周りを見渡しても今彼女が静かに眠っている事を
見ている人はおらず、俺一人が
今彼女の隙のある表情を見ている。
謎の優越感が心と頭を支配していくのを感じた。
チラチラ見ていると授業が終わる10分前程に
眠たそうに目を開けて、何度か瞬きをしてから
いつもの様にニコニコ授業を聞き始めた。
それからは何故か彼女を目で追う事が増えてきた。
案外あの子と話すことが苦手そうな事や、
得意な授業では活き活きとして眠らない事、
逆に苦手なものはずっと眠っている事を知った。
余り苦い物や辛い物が嫌いで甘い物が大好きな事。
甘い物を食べている時はいつもよりも
幸せそうな顔をする。
なんなら食べる前から幸せそうだった。
思わず頭を抱えてしまう程に彼女に惹かれている。
これは恋と呼ばずにはいられないだろう。
今更彼女への態度を変えることは出来ないので
ずっと目で追うだけの日々を過ごした。
彼奴らにはすぐにバレてしまい、
とうとう認めたのかと問い詰められた。
それからは放課後にカラオケに連れていかれ
ずっと恋バナをした、何時からなのか、
どうしてなのかとか洗いざらい聞かれた。
一生分の恋バナをした気がするが、だいぶ疲れたので
暫くはしなくてもいいかと思うほどだった。
いつもと変わらないようで
少し変わった日常をすごした。
それから何回目かの彼女と一緒の日直の日だった。
また、彼女の何気ない一言、その一言に
毎回色んな意味でドキドキしてしまう。
前回のドキドキと違うのは、今回のドキドキは
圧倒的な好意ゆえだということだった。
認めてしまってもいいのだろうか、ここで
そうだと言えば俺は今までの関係から進めるのだろうか
もしかしたら今よりも悪くなってしまうんじゃないか、
と思ったら自然と口は開いていた。
前回は出なかった否定の言葉が今回は
すんなり出てきた。そんな自分が本当に嫌になった。
俺の返事を聞いた彼女は少し面白くなさそうな
顔をした後に、ふわっと優しく笑った。
本当に彼女は俺の事をどうしたいのだろうか、
その後どんなやり取りをしたのかもどうやって
帰ったかも覚えていない。眠る直前で明日顔みて
話せるのか不安に頭を抱えて
眠れなくなったのはここだけの話 。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。