兄ちゃんが、無言で扉に手をかけ
一気にガラッと引く。
顔は、ちょっとお茶の間には放送できぬようなもの()だった。
怒涛の勢いで捲し立てる兄ちゃんに、俺は瞠目するばかり。
にしても、目に異常がねぇな! 最近の医療すげー!!
兄ちゃんが苦虫を噛み殺すみたいなカオで、顔を近づける。
俺が前髪を掻き上げると、兄ちゃんは一瞬息を止めた。
兄ちゃんに、ぐっ、と親指で右目上瞼を上げられる。
兄ちゃんの後ろにいる絵心さんも、兄ちゃんも、
ヒュッと息を呑み込んだ。
兄ちゃんが、砂利をまともに噛んだみたいな苦しい声で短く呟く。
____ 俺の無知のせいで、何もわかんなかったけど。 ((((
一旦ブルーロックに帰還し、
絵心さんのモニター室に通され、
絵心さんが頭をポリポリとかく。
… フケ出そうだな。 (
ちょ、ドユイミカヨクワカンナイ。
ぽかんと口を開けて、せめてもの抗議のため疑問符を残す。
え? マジどゆこと? だれか説明ぷりぃず……
俺右目見えなくなってんの??
目に異常ないっつったのどこのドイツだよ?? 最新の医療ってすごいなぁウフフしてたのどこのドイツだよ!?!!
はぁ… しかも左目もちょっと視力低下してるとか…… ないわ… うわ、ないわー……
それと、脳の記憶障害って何?????
魔法界に転移して……… どうなったんだっけ???
えーと、あー、あそこは死の眼前の留置所みてぇなとこで…… ………… んん……… ??
… え?
成り凛
あれ、俺結構やばいな (
絵心っち
コイツえぐ…… どんだけだよ(悪い意味)
冴ぶらざー
凛の右目ぇ!!! ( (
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。