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第20話

少し前
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2022/04/11 14:33 更新
夏目家に戻る前の事。
夏目漱石
どうしたんです?何かありましたか?
森鴎外
正岡君の事なんですが…
夏目漱石
!また、ですか
森鴎外
どうにかなりませんかね?死んでいるとは言え、病気にはかかるので気をつけて欲しいものなんですが…
夏目漱石
正岡は、子供っぽいですからね。まぁ、見た目もああなってしまって余計にって感じですけれども…
森鴎外
…………夏目さん。…貴方には伝えておいた方が良いと思い話します…
森が重たく口を開いた。すると、夏目はそれに気づき言葉を慎重に返す。
夏目漱石
なんです?
森鴎外
実は…この世界にも『死』が存在するんです…
夏目漱石
!?それは、一体……?
森鴎外
貴方も知っての通り、私は医者でもあるため上、つまり、政府と関わりが少なからずあります。
夏目漱石
えぇ
森鴎外
政府の上層部とも関わりがありまして…で、その人が話したんです。「この世界にも死はある」と
夏目漱石
…死後の世界でも働く事に疑問は多少なりともあったが…死まであるとは…これじゃあ、まるでもう一度も人生を繰り返しているみたいだ…!
森鴎外
そのとおりです。だから、正岡君にも気をつけて欲しいのです。もちろん、夏目さん貴方もですよ。
夏目漱石
うっ…分かっていますよ!……ふと思ったのだが、ここの死は、本当に皆の知っている死なのだろうか…?
じっと森を見つめる。森は、目をそらした。
森鴎外
……それは、分からん。…私も詳しく聞いた訳じゃないんだ。
夏目漱石
そう…ですか
森鴎外
では、体には十分に気をつけて下さい。…………くれぐれも今のことは…
夏目漱石
分かっていますとも、話しませんよ絶対に…
そう話すと、夏目は扉を開け素早くこの場を去った。去るときは、居心地の悪い静寂が部屋に漂っていた。

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