アルベド目線
出会いは、突然やって来る。
本当にそのとおりだと、実感した。
綺麗な紫の髪に、吸い寄せられる赤い瞳。それに、猫耳。
とても愛らしい少女に出会ったのは、今から3年前の事。
僕と、彼女の出会いは彼女のこの一言から始まった。
『れん、きんじゅつ…?』
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夢主目線
あるひ、わたしは、さむいさむいゆきやまに、すてられた。
わたしが、やくたたずだったから
やくにたてなかったから、
しょうふにもなれなかったから
なにをしても、どじばっかりで
たたかれて、なぐられて、けられて。
『死ねばいいのに』
『どうせ役立たずよ。どうしてこんな子が生まれてきてしまったの?』
『全てはあの女のせいだわ。』
『そうね。___の子供がこんなにも役立たずな訳がないわ。』
『______の血筋だからこそ、娼婦であるあの女を大金を支払って娶ってやったのに』
『血筋の特徴なんて、持っていないじゃない、』
ちがう
ちがうよ
わたしは
いのちのこえがきこえるよ
ははさまは
やくたたずなんかじゃないよ
やめて
もうなにもいわないで
『もういらないわ!あんたなんて!!』
『なんで私がこんな目に合わないといけないの!?』
『あんたが生まれる前は皆、私を歓迎してくれていたわ!!』
『カーンルイアの血族が、風神の加護を受けるだなんて!!!』
『お前は一族の恥よ。』
『そうだ。どうせ潜入中なんだ。ドラゴンスパインという雪山に捨てましょう。』
『検討して来るわ。あんたはうごいてはだめよ。』
『あぁ、気持ち悪いわ。今度生まれてくる子は、純潔なカーンルイア人だと良いわね。』
そうしてわたしは、すてられた。
さむかった
こごえそうだった
たすけはこない。
ばかなわたしでも、わかる。
ひとをもとめて、さまよった。
「やはり、これはこうだったんだ」
だれかのこえがした。
いのちのこえじゃないから、ひとのこえ?
しってる。まほう、みたいなじゅつを。
わたしのいしきは、そこからない。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。