部屋に差し込む朝日が、部屋を照らす。
窓の隙間から爽やかな風が差し込み、
一日が始まる。
少し掠れた声をあげる。
いつもよりも重い瞼を上げ、起き上がる。
仁はその時、ある違和感を覚えた。
倦怠感、身体の火照り、喉の痛み
その症状で、仁はすぐに理解した。
昨日の依頼は、捜索届の出た女性を捜すことだった。
途中から雨が降ってきたが、警察の手もあり、なんとか見つけることができた。
だが、長時間雨に当たっていた仁が風邪を引くことはもはや目に見えたことだった。
仁はそのまま、瑠衣達の居る事務所へ足を運んだ。
仁が事務所に来た頃には、瑠衣が既に来ていた。
仁はそう素っ気なく返すと、すぐにソファに身を投げた。
流石、師匠と言った所か
杖道は仁の変化に一番に気付いた。
仁はそう返すと、クッションに顔を埋めた。
内心、「今日は依頼が来ないといいな」なんて考えながら。
仁の祈りも虚しく、依頼が来た。
仁には、依頼を断るという選択肢がない。
探偵というプライドがそれを許さない。
ミスから依頼要件を聞いた杖道は仁に聞く。
そう言うと、仁は瑠衣達と現場へ向かった。
現場へ向かう時から、仁の熱は少しずつ上がっていった。
最初は耐えていたが、次第に仁の足取りは重くなっていった。
流石に瑠衣も気付いたようだ。
仁に心配の声を掛けたが
そう返され、何も言えなくなった。
そのまま仁達は現場へ向かった。
だが、体力に限界が来たのか、仁は立ち止まってしまった。
仁の視界が、左45°に傾く。
その瞬間に杖道が仁を支える。
そう話していると、誰かが声をかけた。
どうやら律が帰る途中だったようだ。
杖道が事の説明をすると、律はすぐにこう言った。
そう言い、仁を抱いて家へ帰っていった。
仁が目覚めると、そこは仁の部屋だった。
水分補給補給用のペットボトルや薬が雑に置いてあり、
恐らく汗を拭くために使ったのであろうタオルが置いてあった。
濡らしたガーゼを持っていることから、律が看病していた事がわかる。
いつも聞いている声に安心したのか、仁は律に抱きついた。
そう言いながら、律は仁を優しく抱き返す。
ホッとしたのか、仁はまた眠ってしまった。
そう言い、律は仁の頭に軽くキスを落とした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。