第19話

18.それでも笑顔にしたいから
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2026/03/01 10:47 更新


ーーー寂れたワンダーランドのセカイーーー
【天】
呪いだとしても俺を笑顔にしたい…?
【天】
はは……。認めるなんて、潔がいいな
………
【天】
だが、もしその曲を聴いてもきっと変わらない。少し笑えても…また消えたい気持ちが強くなるだけだ
【天】
だから、もういいんだ。
放っておいてくれ
えむ
天くん…!
寧々
……ふざけないで!!!
え?
えむ
ね、nenenちゃん!?
どうしてここに…!
寧々
そいつに…!一言言いに来たの
寧々
自分を探せないとか、消えたいとか、
ぐちゃぐちゃ言ってるそいつが、心底腹立つから…!
【天】
………
寧々
なんなのあんた?
寧々
なんであんたは、わたしの欲しいもの全部持ってるくせに、消えたいとか、平気で言えるわけ?
【天】
……何、言ってるんだ?
【天】
…俺は何も持っていない、ずっと
寧々
……何もない?
寧々
わたしにとってはそうじゃないって言ってんの…!
寧々
あんたは持ってる…!
あんなにすごい作品が作れる…!
寧々
あんたの作品を待ってて…期待してくれる人もいる…!
寧々
腹立つくらい才能がある…!!
寧々
わたしが…、わたしが欲しくてたまらないものを、あんたは持ってる…
【天】
………
寧々
あんたの曲が頭から離れないの…!
あんたみたいに勝手なやつ大嫌いなのに、
あんたの曲はもっと聴きたいって思ってる…!
寧々
嫌い、なのに!
消えて欲しくないって…!
もっとあんたの曲聴きたいって…!!
寧々
だから…!
消えないで、作ってよ…!!
寧々
才能あるなら、才能が無い人の分まで苦しんで、作ってよ…!!
寧々
消えるなんて…絶対に、許さない…!
【天】
…俺の曲がすごいかどうかなんて、そんなの、どうだっていい
【天】
俺が欲しいのは、すごい曲じゃない
誰かの称賛でもない。
ただ──見つけたかっただけだ
【天】
だが、それは無理だとわかったから、そんなのどうでもいいんだ
【天】
お前には分からんかもしれんが
寧々
……っ!天…!あんたね…!
えむ
…あたし、天くんの気持ち、ちょっと分かるな
寧々
ふぇにー…!?
えむ
天才な人でも、お金持ちな人でも、かわいい子でも、しんどいことっであると思うんだよね
えむ
天くんがどれだけすごくっても、1番欲しいものが手に入らないなら、天くんには意味無いのかなって…
えむ
だからあたし、天くんが消えたいなら好きにすればいいよって思うよ
えむ
天くんの問題は天くんにしか分かんないし…、どうせ、あたしには何も出来ないし、ね
【天】
……なら
えむ
でもね、なんとなく、あたし達似てる気がするの
えむ
周りに自分の形を変えられていったり、それにいやって抵抗したり、受け入れたり─────
えむ
自分の声が届かなくなって、全部どうでも良くなっちゃう。………そういうとこが似てるなって
えむ
あんまり、このもやもや分かってくれる子いないんだけどね…!
えむ
だから…、あたし、天くんがいなくなったら寂しいって思うよ
【天】
…………
【天】
勝手なことばかり、
【天】
勝手に嫉妬して、
勝手に共感して、
勝手に救おうとして、
【天】
……やめてくれ
もう、充分だろ…?
【天】
俺は、消えたい
それが本当の想いなんだ
……天くん
それでも、僕は君を救いたい
…笑顔に、したい
【天】
……っ!
【天】
もう疲れたんだ!!
【天】
希望があるかもなんて…、まだ見つかるかもって思うのが…!!
【天】
最初から期待しないのがいちばん楽だったじゃないか…!
【天】
だから…!!…もう…、もう…!
【天】
…もう、救われるかもとか、!
笑えるかもなんて、思いたくないんだ!!
……っ
【天】
もう疲れたんだ…!
探しても、探しても、探しても探しても探しても…!
【天】
見つからなくて…っ
また探して…!違うって、絶望して…!
【天】
────もう、これ以上、
どうしようもないじゃないか…!
僕が作り続ける
【天】
……は?
この曲で本当に君を笑顔にできなかったとしても、できるまで作り続ける
君が自分を見つけられるまで
───ずっと
【天】
……何、言ってるんだ…?
ずっと作るよ
父さんの呪いだったとしても
僕はもう、僕の目の前で誰かが消えるのを見たくない
【天】
でも…、でも…!
【天】
お前だって!本当は消えたいんだろう!?
……あぁ、そうだね。
だから、もし、僕が絶望して、消えそうになったら、
その時は、君が「まだ見つかってない」って言ってくれればいい
そう言ってくれれば、僕はずっと作り続けられるから
【天】
……何だ、それ
【天】
自分が何を言ってるかわかってるのか?そんなもの、もうひとつ呪いを増やすようなものじゃないか!
【天】
俺が、俺を見つれられるまで、
お前は作り続けないといけない!それを…!!
うん。わかってるよ
【天】
…………
【天】
どうして……そこまで…
それは……



僕の、ただのエゴだよ
【天】
………………
どのみち、僕は作り続けないといけないんだ。天くんの分が増えたってどうって事ないよ
【天】
………
【天】
……わからないんだ
【天】
見つけられるまでどれだけの時間がかかるのかわからない
【天】
見つからないまま終わるかもしれない
【天】
それでも、本当にやるのか…?
うん。そのつもりだよ
【天】
……はは。そんなに必死になって、バカみたいだ
【天】
………はは……ははは…。
……はぁ……。
【天】
……なら、もう少しだけ……
……… 探して、みる…
…天くん
【天】
本当に─────
ずっと作り続けてくれるのか?
あぁ。
大丈夫だよ。
絶対にいつか、君を本当の笑顔にしてみせるから

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