第18話

17.ふたりの呪い
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2026/03/01 11:32 更新
…天くん…、
えむ
よかったー!
天くん、いたね!
【天】
…どうしてだ?
【天】
ミク……お前が連れてきたのか?
ミク
……
【天】
なんで、また来たんだ?
【天】
俺は、一人にさせろと言っただろ
僕の曲を聴いて欲しい
その為に会いに来たんだ
【天】
……曲?
僕の曲じゃ足りなかったと君は言ってた
だから、もう一度作ったんだ
今度こそ、君を笑顔にできる曲を
【天】
………
【天】
…もう必要ない
天くん
【天】
しつこい
【天】
ミク、追い出せ
ミク
……できない
【天】
ミク、聞いてるのか
早くこの二人を…
ミク
………司くん、聴いて…
【天】
……は?
ミク
…この曲を、聴いて…
【天】
…ミクまで…、なんなんだ?
お願いだ、天くん
【天】
……うるさい!俺はもう、消えたいんだ…!
もう放っておいてくれ…!!
【天】
こんなの…、こんなのものいらない!
……っ!
えむ
Rくんのスマホが…!
【天】
……出てってくれ…
【天】
…俺の事なんて何もわからないくせに、勝手に入ってくるな!!
…わかるよ
天くん、僕達に言ったよね。
本当は消えたいんだろうって
そうだよ。僕も、本当は消えたくて仕方ない
僕は…僕の手で大切な人を不幸にしたから
【天】
…え……?
僕、とても優しい父さんがいたんだ
父さんはほんとにいい人でね、ずっと僕の、「人を笑顔にしたい」って夢を応援してくれてたんだ
でも、僕は手段を間違えた
僕は、ショーの演出家…、あれに憧れて路上パフォーマンスしてたんだ
僕の演出は変で、危険で、誰も一緒にやろうなんて思ってくれなくて…。
でも、あの日だけは父さんが一緒にやってくれて…
その演出、機械を使ったものでね。壊されてたんだ。全部終わった後に気づいたんだ。
故障が原因で事故が起きて、父さんは僕を庇って頭を打って……
えむ
それ…は……。でもそれほんとに類くんのせいなの…?
………僕のせい、だよ。
僕がもう少しまともならこんなことにはならなかった。
父さんから、全部奪ったんだ。
だから───どうしようもないくらい消えたくなった
でも、父さんは僕に人を笑顔にし続けるんだよって言ってくれてね。
……だから、僕は…
せめて誰も傷つけない方法で、人を笑顔にし続けなきゃいけないって
生きてる
どれだけ悲しんで、絶望してる人でも笑わせられる曲を、どれだけ消えたくても作り続けなきゃいけないって
【天】
…………
だから、気持ち…、わかるよ
君とは少し…、違うかもしれないけど
【天】
……そう、か
【天】
Rは、父さんに呪われてるんだな
………
【天】
消せない呪いがあるなんて、可哀想だな
【天】
だが俺は、お前の呪いなんてどうでもいい
【天】
そんなものに、俺を巻き込むな
【天】
Rは、自分が救われたいから、俺を救おうとしてるだけ。
必死になって悪あがきしているだけだ
【天】
……そんなの、互いに苦しいだけじゃないか
【天】
Rだって本当は…消えたいんだから
………
そうかもしれない…でも


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ミク
同じ気持ちがあるから、
何も届かなかったあの子に、唯一、類くんの曲は届いたってことかな
ミク
足りてなくても、ただひとつ、届いてたんじゃないかなあ
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君に、僕の曲が届いてたって知ったから
だから僕は、僕の曲で君を笑顔にしたい
まだ可能性が残されているのなら、絶対に
例えそれが、呪いだったとしても

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