雨が降っていた、土砂降りの雨が
そんな中、1人の少女はベンチに座っていた
わたしは、何となく、声をかけた
生憎、わたしは傘を持っていなかった
もう帰るつもりもなかったから
少女は、顔を上げる気配がなくて
隣に座ってみても、何も言われなかった
少女はそこで、初めて顔を上げた
泣き疲れたような顔をしていて、何処か見覚えがあった
彼女の瞳は冷え切っていて、尚知っているものだった
何にも希望が持てない、全部、投げ出したい
そんな瞳…わたしにとって、最も痛いもの
何があったのか、わたしにはわからない
"誰も救えない音楽家"だとしても
気がついてしまったなら、気にしてしまったなら
大切な人たちから生涯を奪ってしまう…
死神の鎌に見える、呪われた手を伸ばしてしまう
救えないとしても、誰かに救ってもらえるから
きっと、家族も、友達もいるんだろうから
こんなところで人生を諦めてほしくない
わたしが救いたかった人は、もう、手が届かない
お父さんも、お母さんも、届かなくて
わたしが、わたしがどうにか出来ていれば
こうは、ならない人もいたはずなのに
next>>4 救われる資格なんてないけど














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。