死にたいと思わないのか、か
そんなことを聞かれると思わなかった
前を向いて笑って、思いません、そう言いたい
でも、違う…私にそれは言えなかった
その質問に、返すべき言葉がわからない
勿論、先輩を見放したくないというのは事実で
嘘をついたって、どうせバレるんだから
今の司先輩は、よくわからない
でも、一度離した手を、もう一度取ってきた
私は、人との距離は近いほうだけど
あまり男子にはやらないから、今更だけど不思議だった
その手を軽く握り返して、近くのコンビニに行く
傘は売っていたが、店員さんは心配していた
まあ、適当な嘘をついてごまかしたけど
現金しか使えないレジか…
あからさまに嫌そうな反応だ
私も、あまり家には帰りたくないけど
私はどうせ、"必要のない音楽家"
そんな人間を、見放さないと?
先輩は、ただ私だけを見ている
元より嘘なんて言わないとわかっている
だからこそ、その言葉をちゃんと受け取れる気がした
先輩がそう笑っていった瞬間、周りが光り始めた
まるで、セカイに行くように
next>> 3 貴方に生きて欲しいと思う
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。